(資)俵屋工房

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新着情報
2021/2/22

真の芸術家は、人を変え、社会を変え、そして歴史を作る
TBSから販促物が届きました。
佐藤可士和展、いよいよ来月2月からです。

代表作は世界最大級の画布に最新の絵具を十五世紀からの処方で練り上げた絵具で、約二年間掛けて描かせて頂きました。
このたびの制作は「偉大な芸術家には、想像を具現するための条件が整っている」と実感したお仕事でした。

■可士和さん過去最大級の展覧会、コロナが無かったら、僕は過去最高の来館者数を予想していしたが・・
大盛況をお祈りしています。
*画像は転載禁止でお願いします。
2021/2/3
メタル複合フレームのご紹介

軽量・丈夫・簡単組立て

メタル複合キャンバスフレーム 
*実用新案出願準備中

俵屋工房では、博物館や美術館をはじめ数多くの重要な文化財を扱ってきました。歴史的な作品の複製や復元では、まず最初に作品の骨格となる基底材・支持体の準備から入ります。素材にはしっかりと乾燥させた軽くて丈夫な最高級の天然木を使用してきましたが、寒冷地などでは過酷な環境に耐えられず作業中に変形してしまうという苦い経験をしてきました。当然、そのままでは使えないので、補正と補強を行います。その結果、重量も費用も大幅に増えてしまいます。
作品の骨格となるフレームやパネルが展示環境や画布の張力など様々な要因での変形などは無くしたいです。

俵屋工房では、博物館の複製画術では、描かれた当時の天然材料と伝統技法を駆使して行ってきました。特大の基底材への膠での布貼りでも、しならせてしまったことはありません。ですので基底材に金属を使用する発想などは全くありませんでした。とはいえ、その百戦錬磨の技術があっても、また、優れた天然木材であっても、過酷な環境で状態を保つにも限界があります。丹精込めて描いた作品のフレームが変形してしまったり、強度への不安は避けたいものです。

そこで考案したのが、軽くて丈夫な「アルミメタル」とタックスやタッカーを打ち込める「天然木」の長所を取り入れたメタル複合フレームです。
2015/1/5

「巨匠たちの技法ビデオシリーズ」のための原資視察に行ってきました。
2015/1/5

油彩画技法発祥の地ベルギーのブロックス社・ジャックスブロックスW世との会談。主な-議題と案件は、「急速に消滅していく巨匠たちの白[フレークホワイト]の復活と存続と-油彩画技法本来のスタイルの復興について」 後編

2014/06/12 に公開
2015/1/5

油彩画技法発祥の地ベルギーのブロックス社・ジャックスブロックスW世との会談。主な-議題と案件は、「急速に消滅していく巨匠たちの白[フレークホワイト]の復活と存続と-油彩画技法本来のスタイルの復興について」 前篇

2014/05/27 に公開
2014/7/4
[2014年度・夏期特設画材学研究講習会]

高橋メソッド・中津美術研究所からのご案内

[2014年度・夏期特設画材学研究講習会]を、下記の通り開催しますのでご案内致します。

■研究内容
油彩画技法発祥の地・ベルギーブロックス社製品のアンバー(琥珀)を中心とした各種レジン(天然樹脂〜松脂)溶液に関する実験研究。主な試薬は【琥珀・樹脂・松脂】。*詳細は別紙をご参照ください。

■レジン溶液研究に関する趣旨
2014年5月、私は(高橋メソッド・中津美術研究所主宰)は、15世紀に絵画技法として確固たる地位を築いた油彩画技法の発祥の地ベルギーに出掛けた。渡欧目的は、世界最高ブランドである【BLOCKX社】のご当主ブロックス4世氏との会談である。

会談はフランス語と英語で早朝から終日まで二日間行われた。主な内容は、世界の大美術館を飾る名画の白、いわゆる【伝統のフレークホワイト(シルバーホワイト)】の製造継続の陳情と、私の処方による【フレークホワイト製造】に関する打合せ、【油彩画技法の伝統的スタイルである「ブロックススタイルの普及」に関する意見交換】である。

*そもそも油彩画技法の基本スタイルは、[乾性油+天然樹脂を配合した絵具で描く技法]である。ブロックススタイルとは、この伝統的なスタイルを指す。

油彩画技法が確立されてから約500年。とはいえ、この技法の基本スタイル、すなわち技法の秩序は16世紀にアルプスを越えてイタリアに伝わった頃(ルネサンスの時代)から急速に崩壊されはじめた。そして、暗黒期と呼ばれたロココ〜迷走の印象派時代を経た今日の油彩画は、この技法が始まった頃の姿はほとんど失われてしまった。

私は今から25年ほど前に「裏側から見た絵画の世界(矢切書房刊)」という本を出版した。この本の主たる内容は、「油彩画技法の過去を振り返り、また新たな方法へと再調整」であった。
その後、様々な文化財や数多くの画材原料、そして内外の専門家の方々との交流を通じて、この技法の本来のスタイルの復興〜普及の必要性への思いは増すばかりである。

油彩画技法におけるレジン成分は、この技法の心臓部にあたるものである。しかし、これまでの多くの絵師たちは、長い間、この部分についての明確な答えを知らされず、曖昧なままにされてきた。
芸術作品とはいえ絵画市場〜コレクター〜美術館においては、いつ絵具が剥がれたり、ひび割れたり、変色したり・・するか分からない作品は望ましくない。購入した作品は、安心して末永く保存できる丈夫でしっかりとした作品が好ましい。それは電化製品や自動車と同様である。
このたびのレジン研究とその実験内容は、検体そのものは十種類程度だが、第一段階の個体実験では、それぞれに加工方法と処方がことなり、これに続く複合実験〜描画技法を模した実験と数時間単位〜2年間に及ぶ測定数からするとその数は一千以上の実験データを数えることになる。とはいえ、この実験の目的は、「油彩画作品の堅牢性・操作性・画肌の美しさの向上」と極めてシンプルなものである。

■実験の概要
油彩画技法の構造は、大きく三つに分類できる。また、各部分には、それぞれに技術的なルール(秩序)がある。そして、各部分から全体を繋げるための(構成)バランスがある・・

1.基底材(骨格) 2.絵具層(筋肉) 3.ニス層(皮膚) +・それぞれの品質と処方+扱い方(技法)

高橋メソッド・中津美術研究所と俵屋工房では・・

1.基底材には板(カシなどの無垢板)や銅板を推奨している。この部分を人体に例えると骨にあたるので丈夫なものが必要。

2.一般に油彩画は「油と顔料による技法」と思われているが、「油+樹脂+絵具」が本来のスタイル。「なぜ樹脂が必要なのか?」答えは簡単だ。リンシードやポピーオイルなど「植物性乾性油」だけだと、いずれ柔軟性を失い絵具層のヒビや剥離を起こしやすくなるからだ。そこにアンバーなどの天然樹脂や松脂を混ぜることで、このようなアクシデントを予防〜軽減することができる。あのルーブルのモナリザも、この処方ならば、堅牢性が保たれていたはずだ。

3.ニスは、天然鉱石や化学物質で出来た顔料を大気に含まれる物質によって変質しないように、作品が仕上がったら画面をコーティングする必要がある。工房時代が終わり印象派以降になると、この作業を怠った作品〜作者が急増、作品の変質を急がせた。ゴッホの作品が、他の印象派の画家と比べ特別に高価なのは、作品の堅牢性にもある。

*ブロックス社〜俵屋工房の見解では、描画時の絵具に充分なレジン分が含まれていれば、仕上げ用ワニスを必要としない場合「技法」もある。

さて、油彩画に使用する樹脂には、マスチック、コーパル、サンダラック、アンバーのほか、各種松脂などがある。その歴史と処方については、楽器のヴァイオリンのニスと、とても似ている。処方基準が、丈夫さ・美しさ・操作性・と言った点でも共通する。(油彩画ではシェラックは使用しない)


■結語
このたびのレジン溶液実験研究は、油彩画500年の歴史を検証し再調整するものでもある。テストデータは数千に及ぶが、その中から消去法で優れた素材と処方を再確認し、その結果を次世代の絵師たちに繋げていきたい。
この数百年の間、数多くの技法書などが出版され、その都度、油彩画に携わるものたちを困らせ、戸惑わせてきた。本学においては、「誰々によると・・」「・・の文献には・・」といった、間接的なデータ、机上の情報には、まったく関心がない。すべての検体のその産地・メーカー・品番・処方・・を明らかにした上での実験を通じて明確なデータを得るものである。私たち絵師に必要な情報は、現場で直に活用できるものでなければならないのだ。

主な実験内容・・「琥珀・樹脂・松脂における実地の態様テスト」
*原液〜各種濃度別・塗布実験(乾燥作用・塗膜強度)
*各種処方別・塗布実験(乾燥作用・塗膜強度)
*各種複合別〜重層・塗布実験(乾燥作用・塗膜強度)
*塗膜(技法)別・ニス塗布の種類とタイミング

■参加者募集人数・・3名(定員を増員)
■参加申込期限・・・2014年7月8日まで
 *メールにて(住所・氏名・電話番号・高橋メソッドもしくは俵屋工房との関係)を記入の上、
お申し込みください。
■募集人数・・3名
 *定員数を増員しましたので直ぐに定員になることが予測されます。お申し込みはお早めに。
■参加資格・・俵屋工房・高橋メソッド・中津美術研究所に繋がりのある方またはご紹介者のある方
 *その他、ご相談下さい。
■参加費用・・直接、お問い合わせください。

*お知らせ 本学の講習会ではビデオ撮影が入りますので、参加できない方は【DVDビデオ・レジンオイル徹底研究(仮名)】をご利用下さい。

  ■講習時間18:30-20:30      
第一回 7月12日 事前説明 試薬準備 実験準備  
第二回 7月26日 事前説明 試薬準備 試薬塗布  
第三回 8月9日 事前説明 試薬準備 試薬塗布 測定
第四回 8月23日 事前説明 試薬準備 試薬塗布 測定
第五回 9月13日 事前説明 測定
第六回 9月27日 事前説明 測定
第七・八回 半年1年後の測定は、別途、日程を決める     事前説明 測定


試薬品目

天然樹脂 番号 英名 社名 番号
アンバー ソリューション Re01 Amber,Painting Solution Blockx ref. 3.x.21
アンバー ヴァイオリン Re02 Amber,Violin Varnish Blockx ref. 3.x.26
アンバー 自製(甲) Re03 Amber,genuine pieces 俵屋工房 Rt-t.001
アンバー 自製(乙) Re04 Amber,genuine pieces 俵屋工房 Rt-t.002
コーパル マニラ Re05 Manila Copal Holbein PG506
シッカチフ フラマン メディウム Re06 Medium Siccatif Flamand/Copal Lefranc/LB  
コーパル コンゴ Re07 Congo Copal Dr.Kremer  
マスチック キオス Re08 Mastic,Chios Tears Dr.Kremer No.60050
マスチック マスティファ Re09 Chios Mastiha Tears ギリシャ  
サンダラック モロッコ Re10 Sandarac,genuine Maroccan Dr.Kremer No.60100
ダンマル スマトラ Re11 Damar,Sumatra Dr.Kremer No.60000
アルキド樹脂 Re12   Holbein PG.521
スタンド オイル Oi13 Purified Linseed Oil Blockx ref. 3.x.17
         

バルサム 番号 英名 社名 番号
ストラスブルグ ターペンタイン Bs01 Strasbourg Turpentine Dr.Kremer No.62040
カナダ バルサム Bs02 Canada Balsam Dr.Kremer No.62110
ベネチア テレピン バルサム Bs03 Venetian Turpentine Holbein  
         

試薬処方

天然樹脂 番号 処方
アンバー ソリューション Re01 原液 Re01-100 Re01-75 Re01-50
アンバー ヴァイオリン Re02 原液 Re02-100 Re02-75 Re02-50
アンバー 自製(甲) Re03 処方−1 Re03-100 Re03-75 Re03-50
アンバー 自製(乙) Re04 処方−2 Re04-100 Re04-75 Re04-50
コーパル マニラ Re05 TT溶解 Re05-100 Re05-75 Re05-50
シッカチフ フラマン メディウム Re06 原液 Re06-100 Re06-75 Re06-50
コーパル コンゴ Re07 ランニング+TT Re07-100 Re07-75 Re07-50
マスチック キオス Re08 TT溶解 Re08-100 Re08-75 Re08-50
マスチック マスティファ Re09 TT溶解 Re09-100 Re09-75 Re09-50
サンダラック モロッコ Re10 TT溶解 Re10-100 Re10-75 Re10-50
ダンマル スマトラ Re11 TT溶解 Re11-100 Re11-75 Re11-50
アルキド樹脂 Re12 原液 Re12-100 Re12-75 Re12-50
スタンド オイル Oi13 原液 Oi13-100 Oi01-75 Oi01-50
           

バルサム 番号 処方 原液
ストラスブルグ ターペンタイン Bs01 原液 Bs01-100 Bs01-75 Bs01-50
カナダ バルサム Bs02 原液 Bs02-100 Bs02-75 Bs02-50
ベネチア テレピン バルサム Bs03 原液 Bs03-100 Bs03-75 Bs03-50
           

以上、ご連絡申し上げます。

高橋メソッド・中津美術研究所
〒243-0303 神奈川県愛甲郡愛川町中津6127
TEL. 046-285-5818 FAX. 046-285-5820
http://homepage2.nifty.com/takmet/
--------------------------------------------------------------------
■ベルギーブロックス4世と俵屋工房・高橋亮馬の会談ビデオ
 http://www.youtube.com/watch?v=YaMX5syS420

■俵屋工房についてはフェイスブックをご利用下さい。
 友達リクエストをお待ちしています。
 https://www.facebook.com/ryouma.takahashi.14?ref=tn_tnmn

■高橋亮馬[技法の杜]WEB10分講座 
 http://www.youtube.com/watch?v=eCco7E5yN3A

■高橋亮馬 長崎歴史文化博物館蔵・複製画製作工程資料
 ※原資:東京国立博物館蔵重要文化財
 http://www.tawarayakobo.com/00.fukusei/nagasaki_rekihaku_ito-msk.2007.html

■合資会社俵屋工房(乃村工藝社登録工房)
 http://www.tawarayakobo.com/shop/
 info@tawarayakobo.com
2014/5/28

Belgium BLOCKX社 [Jacques BLOCKX W世と俵屋工房 高橋亮馬会談] 前篇を公開しました。

2014.05.11-13 油彩画発祥の地ベルギー(フランドル)ブロックス社のブロックス4世当主との会談を行いました。俵屋工房の処方による白色油彩絵具は[高橋スペシャル]と名付け、ラベルには、[ブロックス4世]のサイン入りとなりました。

■ブロックス社に関する記事はフェイスブックもご利用ください。
■俵屋工房会員の皆様からの友達リクエストをお待ちしています。
https://www.facebook.com/ryouma.takahashi.14?ref=tn_tnmn
2014/5/10


昨日、ベルギー・ドイツから帰国しました。留守中はご不便をお掛けしました事をお詫び申し上げます。

お陰さまで高橋亮馬は、それまでの舞台を日本から世界へと躍進することができました。

今回の渡欧の目的は、いくつかありましたが、最重要案件はBLOCKX社のJacques BLOCKX 4世との会談です。

BLOCKX社は、油彩画技法の始原とされるファン・エイク(現地ではヴェァン・デェアキ*ルーベンス工房のヴァン・ダイクではない)のほか、数多くの巨匠たちの出身地のベルギーにあります。絵画材料を提供するメーカーとしては、歴史的かつ品質的にも最高品位のブランド、最も信頼できるブランド・・、正直、幼少の頃から近寄りがたい世界最高のブランドでした。

そのあこがれのBLOCKX社、そして当主のJacques BLOCKX 4世に直接、お招き頂いた3日間・・。

Jacques BLOCKX 4世との会談が始まると・・

1800年代からのブロックス社に、忌憚ない意見を寄せ、さらには、強い要望〜提案をした絵師は、同社の歴史上でも初めてのようで・・

渡欧初日、その当初での会談では、当主が、僕に対し、強い口調で「BLOCKX社の歴史を語り、自社製品へのほこりを持たれた上で、僕の意見を跳ね返し、つき返す・・」ことは、事前に予測+認識していました。

その後、二日間に渡って、「お互いの主張」「意見と反駁」「回答の確認」・・何度も何度も、互いの意見と認識をぶつけ合いました。と、気がつくと、その思いと目指すことは、まったく共通している。ということをお互いに確認することができたようです。

・・その後については、とりいそぎ結果の一部をご報告・・

「あなたが追求する絵具、そしてその処方による絵具は[高橋スペシャル]としてBLOCKX社が作る」

「その絵具のラベルには、一本一本、私(Jacques BLOCKX 4世)のサインを入れます」

「あなたが求める絵具、必要とする絵具は、すべて作ることができます。素晴らしい絵具を一緒に作りましょう。」

「油彩画の本来のスタイルを改めて世界に伝えましょう」

*このたびの渡欧に関する映像は、ユーチューブにて配信(一部会員限定公開)しますので、ご覧頂ければ幸いです。

写真/Jacques BLOCKX 4世の研究室にて
2014/5/10
**芸術大学S様、宮城県**様

俵屋工房製品の到着のお知らせありがとうございました。
また、製品に関するご評価に感謝申し上げます。

明日よりブロックス社とドイツの画材会社に参ります。
俵屋工房との絵具の共同開発と絵画技術についての会議です。

帰国後は、技法ビデオシリーズの製作開始と歴史的素材の取り扱い再開を行います。

また、絵画学に関する[学会]の発足についても、お声を掛けて頂いています。
様々な分野が進歩発展している中で、絵画技術分野は15世紀以降の進歩はないように思います。

絵画制作には[芸術的概念]と[物質的概念]とが必要です。
前者は、油彩画技法のプリミティブな時代〜ルネサンス〜バロック〜印象派・・へと素晴らしい進展がありました。がしかし、その一方の物質的概念は、あのモナリザが極めて危険な状態にあることが示すように、15世紀後半、油彩画の技術がアルプスを越えてイタリアに伝わった頃から急速に変貌=技法の秩序の崩壊が始まりました。

油彩画の歴史は、大きく[工房の時代]と[それ以降の時代]に分けることができます。その優劣を含め、とても分かりやすい歴史です。
出版後、そろそろ四半世紀前になる著書にも書きましたが、「油彩画技術の再調整」・・調べ直して新たなメソッドを・・

そのためには、描画のための優れた原素材、絵画表現のための良質な材料が必要です。明日の渡欧は、今までのそれとは異なります。
画材のブランドではロールスロイス級の[BLOCKX社]のご当主ブロックス4世との二日間の会談です。

このたびは急な展開でしたのでメディア取材には間に合いませんでしたが、西洋の歴史と日本の文化との融合・・僕の役割としては、数年前に手掛けさせて頂いた、織田信長様による天正遣欧使節団の伊東マンショ様!でしょうか・・
また新たな歴史の一ページ・・何かが変わるような予感がします。

俵屋工房
店主敬白
2014/4/20

俵屋工房は、今春より世界の大美術館を飾る[名画の白]・伝統のフレークホワイトを、ベルギーのブロックス社と共同開発に着手しました。

ブロックス社といえば、そのブランドイメージは、画材業界のロールスロイス社。

先日、俵屋工房からベルギーにお届けしたフレークホワイトは、早速、分析され、以下の評価を頂きました。

I have received yesterday 1 sample.
Tested today it is very nice.

現在は、処方・製法等、製品化に向けての問答を頻繁に行っています。
2013/10/1
本日、カナダのKAMA PIGMENTより、素晴らしいご返答を頂きました。

すべてにおいて、至極光栄+恐縮です。

For now we have no distributors in Japan and are not talking to anyone except yourself. We sincerely hope we can work together in the future.

お取引成立後に、弊社HPの[取り扱い店舗一覧] http://www.kamapigment.jp/ja/ressources/distributors.html
に掲載させて頂きたいのですが、こちらは如何でしょうか?

素晴らしい品揃え・・

国内の画材市場〜流通事情に新たな歴史の1ページが始まります。
2013/9/24

大変お待たせいたしました。
熊野筆組合認定・俵屋中村製[冴]が入荷しました。
2013/7/9

フランシスコ・ローマ法王に[FRA ANGELICO BLUE]
*俵屋工房製・超特級:本瑠璃油彩絵具を、お贈りいたしました。
その一部の風景をYoutubeにアップしました。
2013/7/5

献上用の絵具と、その顕微鏡写真です。僕の知る限り、これ以上のフラアンジェリコブルー油彩絵具はありません。

この顔料を作られたのは吉川先生。四半世紀にわたりご研究されてきた結果の賜物。僕は、ただそれを練って絵具にしただけです。

絵が描ける画材の研究家は、歴史的に見ても希少です。吉川先生や最近、ご縁のある方は、そのような方ばかり・・今後の画業の歩みがとても楽しみです。

それぞれに拘りのある絵師の方々と、忌憚のない対談・・したいですね。
2013/7/2

ローマ・ヴァチカンのために、この絵具の最高級の

[ウルトラマリン ブルー スペシャル *超特級品・本瑠璃]を、

手練りしました。その一部風景をアップしました。
2013/6/26

本日、この顔料を国立東京文化財研究所(略称)に納めさせて頂きました。

原石を粉砕〜精製したこの顔料[Genuine Lapis Lazuli]は、このクラスでは、その純度と発色性、なおかつ廉価といった点からも世界最高峰の品質だと判断します。

また、通販ページには掲載されていませんが、Lapis Lazuli Pure (瑠璃)で手練りした絵具は、[今世紀至極のマリア様の青]として、近日中にヴァチカンのローマ
法王に献上します予定です。
http://www.tawarayakobo.com/shop/181_1191.html

食べ物に自然食がありますように、色にも自然(色)がございいます。
この絵具はとても高貴な色で、自然食のように目から体内に優しくしみわたります。

この絵具で描いた花・空・マイセンのような青・青い瞳・・は、万人の方に、心地よい感動を与えてくれるものと存じます。

こちらのビデオの後半では、瞳部分のラピスラズリ効果とその素晴らしさを紹介しています。
http://www.youtube.com/watch?v=eCco7E5yN3A
2013/6/18
俵屋工房併営・高橋メソッド 中津美術研究所には、夜行バス・新幹線・ 飛行機・・で通ってきてくれています。

九州から北海道のみならず、海外からの入学希望者も絶えませんが、 最近は、通学できない方々のために、講習会の内容の一部を公開するように しています。

大半の内容が、美術大学でも学べない、職業としての、そして、技術者としての 実践絵画技術です。

■高橋メソッド・中津美術研究所 技法の杜 WEB10分講座−001 [人物画の筆法]
2012/12/23

ラピスラズリの顕微鏡写真をご提供いただきました。

写真左が俵屋工房の手練りラピスラズリです。ミクロの世界で結合材の油が均一に分散しています。

高い重量で圧力を加えるプレスローラーミルによる顔料の破損は全くなく、個々の顔料がクリスタル上に輝きを放っています。

この手練りの技術は、ラピスラズリ顔料開発者様より[神業]との高い評価を頂きました。

「練り方よりも、原素材が素晴らしいのです。(店主)」
2011/8/2

店主とラピスラズリについて書き綴りました。
2011/8/2

ブロックス画用液[iquids]500ml・1000mlの予約注文のお知らせです。

複製画の入札・古画調査など、突発の仕事が重なりショップページの
アップが不十分でご迷惑をお掛けしております。

画用液を沢山ご使用になられる作家・研究者・大学の研究室様向けの大瓶中瓶サイズの
ご予約の締切が迫っています。

ご予約方法・・下記リストをご参照の上、このページの上段の[お問合わせ]ページにて、
[ご予約の製品名・数量・お名前・ご住所・電話番号・ご連絡先メールアドレス]を
ご記入の上、ご送信ください。(大量のご注文の場合は、前金制となります。)

予約締切 2011/08/08/12:00まで

********************************************************

No.01 ARTIST WHITE SPIRIT
500ml 19.09  2,300円 / 1000ml 31.73  3,800円

No.02 TURPENTINE SPIRIT
500ml 19.09  2,300円 / 1000ml 31.73  3,800円

No.03 PURIFIED LINSEED OIL
500ml 19.09  2,300円 / 1000ml 31.73  3,800円

No.04 POLYMERISED LNSEED OIL
500ml 19.09  2,300円 / 1000ml 31.73  3,800円

No.05 POPPYSEED OIL
500ml 29.75  3,550円 / 1000ml 49.53  5,950円

販売価格は、ブロックス本社の通販価格とほぼ同様です(1ユーロ120円換算)。

2011/3/23

「自分のことは自分で守らなければならない。個人ごとに独自の防衛省、あるいは政府を
持たなければ、この国では生きていけない」ということを再確認しました。

愛川町役場からは、「本日○○から計画停電やります・・」と何度もアナウンスされれば、
私たち住民は疑うことなく停電に備えます。でも予告時間が過ぎても停電することなく
工房内は明るいまま・・・

そんなことが何度かあり、今日もないのかと思ったら、今度は、何の知らせも前触れもなく、
いきなり「ボォン !」 夕方の工房は真っ暗に・・。
明日は、いよいよ世界に向けて活動される作家からの特大円形パネルの納期。
このままでは間に合わない。普段「仕上げ用のワニスは、目隠ししても塗れる技術が
なければ塗る資格はない・・」と豪語している自分を思い出し、目隠しまではいかないが、
せめてロウソクの光の助けを借りて
作業を続けることに。レンブラントの世界です。
40年間、支持体を作ってきましたが、こんな体験は初めてです。

・・翌日、ほとんどのガソリンスタンドが品切れで閉店。幸運にも行きつけのスタンドから
「夕方入荷」との知らせがあり、2時間待ちで給油完了、空からは牡丹雪。
大雪の中、支持体は無事、ご注文先のスタジオに届けることができました。
2011/1/10

2010年 " 松浦 浩之 個展 "
『Super Acrylic Skin - Sweet Addiction』
http://diary.hiroyukimatsuura.com/201009/post-113.html

知人のジャーナリスト・写真家・息子とでお邪魔しました。

スタジオにお邪魔しても展覧会に伺っても、おいとまするときは、なぜかいつもお腹いっぱいになっている
ような気がします。
内外を舞台に活躍され、描けばすぐにオファーが入り、間もなく次ぎの制作のための準備に取り掛かる。
新しい支持体をお届けしたときには、もう次の制作の構想が伝えられその場でミーティングが始まる。
とにかく常に[ing系]なのです。それが遣り甲斐と活力となって元気が出るのかもしれません。

いつも俵屋工房と息子がお世話になりまして、本当にありがとうございます。

展覧会の詳細が紹介されています→
http://ex-chamber.seesaa.net/article/163284279.html
2010/12/4

俵屋工房・メルマガ第二号です。配信を希望されなかったお客様にご覧いただければと存じます。

┼─────────────────────────────────┼
 (資)俵屋工房 メールサービス Mail No.02(2010/12/04)
┼─────────────────────────────────┼
このメールは俵屋工房・ネットショップにメール配信のご了承を登録
いただいているお客様にお送りしております。
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いつもお世話になっております。俵屋工房です。
今年もあと一カ月。今年の制作活動は如何でしたでしょうか。
俵屋工房の今年は、たくさんの作家様の制作に関わらせて頂きました。
特に作家様の表現に合わせた、特注の支持体は、内外を問わず好評でした。
また、当工房と広島熊野の中村製作所との共同開発による画筆は、
国内トップクラスの画家様から支持されますと共に、品質に対する賛美の声も
多数、お寄せ頂きました。誠にありがとうございます。
それでは今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

店主敬白

━……╋ INDEX ╋……━……━……━……━……━……━……━……━……
■イタチ平筆[冴(さえ)]12月4日入荷決定。
■美術の窓12月発売号・古吉弘画伯による「画材特集=筆」にて、イタチ平筆
[冴(さえ)]が紹介されます。
■俵屋工房店主が語る[技法の森(大切な筆の洗い方)]が、専門家の間で話題に
■円パネル・オーダーメイドは、世界で活躍される作家様から大好評
■木枠とパネル工場が、9月の台風9号の直撃によって被災
■手工キャンパス・バージョンアップ
■2010年の暮れ・・[クレサン]セール実施中・・・全品10%割引中
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□イタチ平筆[冴(さえ)]12月4日入荷決定。
□俵屋工房自慢の筆、[黒丸]と[冴(さえ)]は、今秋より[俵屋工房・中村]の
刻印が入りました。
http://www.tawarayakobo.com/shop/59.html

□美術の窓12月発売号・古吉弘画伯による「画材特集=筆」にて、
イタチ平筆[冴(さえ)]が紹介されます。
美術の窓http://www.tomosha.com/books/mado/newest.html
古吉弘画伯http://www.geocities.co.jp/paintingsfuruyoshi/index.html

□俵屋工房店主が語る[技法の森(大切な筆の洗い方)]が、専門家の間でも話題に
http://www.tawarayakobo.com/10.gazai/material/guide/mori/fude-arai.html

□円パネル・オーダーメイドは、世界で活躍される作家様から大好評
松浦浩之様作品ページhttp://hiroyukimatsuura.com/
垂谷知明様ブログhttp://ameblo.jp/tarutani-t/

□木枠とパネル工場が、9月の台風9号の直撃によって被災
http://blog.shizuokaonline.com/eye/2010/09/9_1.html
円パネル・木枠など、年末年始10%割引中
・・[ご注文確認メール]にて割引き後の金額をお知らせ致します。

□手工キャンパス・バージョンアップ
http://www.tawarayakobo.com/shop/141.html

□2010年の暮れ・・[クレサン]セール実施中・・・全品10%割引中
基底材・支持体コーナー http://www.tawarayakobo.com/shop/9.html
・・[ご注文確認メール]にて割引き後の金額をお知らせ致します。

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2010/8/28


昨年の末あたりから現代アートの作家の方からのご注文や問い合わせが増えてきました。

古い時代の材料を探したり、様々な処方を試行錯誤したり俵屋工房は、通常の時の流れとは、
逆行した活動が大半を占めているわけですが、ここへきて現代アート作家様と連携したオリジナル
画材の製作が多くなっています。

特に円形パネルに寒冷紗を貼り白亜地塗りで仕上げたり、箔押し用に白亜地をツルツルに磨いた
ものや、作家の方の表現に合わせたアクリルジェッソ仕上げなど・・様々なご要望にお応えしています。
以前にご紹介した垂谷氏用に製作した4号のパネルに描かれた作品には、世界中のから複数の
オファーがあり、海外で発表すると同時にコレクターのもとへ。

上の写真は、いつもお世話になっている作家様のカタログと、9月開催の展覧会の手の込んだご招待状です。

中津川のほとりの古民家の工房で丹精込めて手作りした手工パネルによる作品が数点展示され
ます。

先日、追加製作のための打ち合わせにスタジオをお邪魔した際には、少し前に納めた大きなパネルには、
まったく予想もしていなかった作品に仕上げられていたので、とても衝撃的でした。

ブログには、すでに作品化された円形パネルたちが映っていました。

http://diary.hiroyukimatsuura.com/

展覧会のオープニングには、ファンの小学生の息子もご招待いただいているので、開催日をとても
楽しみにしています。
2010/7/8

三種類のカラータックス仕様


上段:キャンパスと同系のアイボリーホワイト
中段:明るい絵に似合うピンク
下段:ノーマルタイプのブルーブラック

額装なしで展示される際には、ぜひご利用ください。
2010/6/14

直径110pの円形パネルが届きました。

このパネルは、基底材としての構造・布目・地塗り・乾燥性・・など、
大型サイズを製作する前の試作を兼ねたものです。

すべて手仕事による正円パネル、その裏面の木の組み方は、まさに[日本の職人の技]

こういった技術と一緒に仕事ができることに喜びを感じるとともに、
日本人としての誇りを感じます。

このパネル素材は、この後、裏面に保護用のニスを塗り、表面研磨と洗浄・
布貼り・目止め加工・地塗り数層・・仕上げへと進みます。

この支持体のご依頼者は、欧米や中国など海外で活躍されている現代作家のお得意様です。
お名前は、無断にて控えさせていただきますが、俵屋工房をご愛顧くださいます
一流作家様は、皆様、紳士的な方ばかりです。

違いが分かるお客様とのコミュニケーションには、常に有意義なドラマがあります。
画業の素晴らしさとやりがいを感じる今日この頃です。
2010/6/13

お陰さまで俵屋工房の筆「黒丸と金平」は、内外で人気作家の皆様にご愛顧いただいて
おりますこともありまして、少しずつご注文数が増えて参りました。

また有名な絵師の方のブログなどでも高く評価して頂いておりますこともあり、
入荷後まもなく品切れというパターンが続いて、お客様には、たいへんご迷惑を
お掛けいたしております。

写実の大家の先生方にも、ご愛用いただいている俵屋工房の筆ではありますが、
この品質を得るには、また保持するには、筆会社様の並々ならぬご努力とご尽力が
あってのことです。その最も大きなネックは、「原毛の確保」です。

「中国から仕入れればいいのに!」
中国の処理方法では使えません。実際は同業者の方々のご協力を通じて、
質の良い原毛を他社の倉庫から探してもらったり、時には原物を入手して、
原毛を取り出すこともしばしばです。

現在、黒丸と金平の0号が欠品となっています。まだ入荷日は決まっておりませんが、
あと一ヶ月ほど掛かるかもしれません。入荷次第、ご案内申し上げます。

ご購入の予約は、メールで承っております。お早目にお願いします。

上の写真は、当初の試作品と前回入荷した製品との比較サンプル。
および次回から筆の柄にプレスするロゴのサンプルです。

比較サンプルは、見た目では全く変わりませんが、測定器を使用すると、
金具の先が狭く(-0.15o俵屋工房計測)なっているのと、横方向に使用する際の
腰が、僅かに甘くなっていました。

熊野の中村製作所は、その都度、製作資料と生産ラインを通じて
原因を調査します。

この手の筆は、0.1-0.2oの形の誤差、あるいは毛が2−3本、少なくても
多くても、その使用感に影響してきます。そして、その僅かな誤差や質感の
違いについても、中村製作所は、迅速かつ厳格に対応して下さります。
俵屋工房が自信を持って、お客様にお勧めできます所以です。

中村製作所の中村社長様をはじめスタッフの皆様には、いつも感謝しております。

次回納品分よりロゴが入ります。
また従来の金平の名称は、[冴(SE)]に襲名しました。

いままでメーカー名も筆の名称も無記名でした。

「この筆、使い易いなぁ。何処のメーカーで、何ていう名前の筆なの?」
「何も書いていないから、分からなくなるから明記すべき!」とのお客様からの声も
あり次回製造分より、記載することになりました。
[熊の筆]の称号も引き続き承認される予定です。

皆様、どうぞ今後ともよろしくお願い申し上げます。

店主敬白
2010/6/11

5月の連休からはじめた修復が、つい先日終了しました。

布・地塗り層・下地層・絵具層・ニス層におよぶ作品全体のアクシデント、
その不思議な現象の原因が、修復を進めるごとに、ひとつずつ明らかに・・。

やはり結果には原因が・・。

支持体は半生キャン(グルーキャンバス)に、白亜を含まない特殊な白土が
使用されていました。好ましくない白土数種と地塗りの厚みが重なって、
指先で軽く押しただけでもパリパリとヒビ割れます。

キャンバスの縁の部分には、15ミリほど離れた部分に、もう一つのタックスの穴が・・。
水性地塗りによって、かなりの力でキュンバスが収縮した証拠です。
生キャンを普通のキャンバスのように、最初から引っ張って張れば、
例えば、それが50号くらいだと、木枠が折れるか亀裂が入るほど収縮します。
そして、その後の麻布は、紙のように柔軟性を欠き、基底材としては、とても危険な状態に化します。

どの技術書にも、キャンバスの張り方の順番などは説明していますが、
布の種類や作業工程による引っ張る強さ加減については記載されていません。

この作品のもう一つの不思議は、ルフラン社のNo.1188の部分的な[割れと白濁]です。

キャンバスの縁を見ると、上層の鮮やかな青と色とは異なる黄色が目視できました。
「下層にレーキ絵具の使用・・」

以前、ドイツの絵具メーカー製品数本と共に「なぜ、こういうことが起きるのでしょうか?」
との質問が寄せられました。
金属チューブから油と色層が滲み出てくる現象です。

金属チューブから滲み出てくる(=作品上での「泣き」)わけですから、
絵具の塗膜くらいなら、容易に滲み出てくることは、充分予想できます。

この部分の処理は、修復時間があまりにも短かったため、ひび割れた部分に、
細かい穴を開けて、樹脂を染み込ませてから圧をかけて接着、
さらに樹脂で表面をしっかりコーティング。
そして、二日間経過を見てから仕上げワニスを塗る予定でしたが、
処置した部分を確認すると、僅かに膨れ上がり、暗い赤色がまた白濁しています。
やはり下層の有機顔料の絵具がガスを発生させているのかもしれません。
ルフラン社に報告するべき事例です。

結局、あまりにも短い修復期間ゆえに、それまで避けてきた地塗り層から削り落とす、
いわばガンの切除術を決行しました。

俵屋工房としては、伝統的な天然素材で描き、そして修復することが、
基本姿勢ですが、短時間で処置するには、合成樹脂のお世話になるしかありません。

約二日間、術後の経過を見ましたが、斜光線で検査しても何処を修復したのか
分からない状態・・、問題は発生しませんでした。最初からこの方法にしておけば・・。

美術館や博物館では、この後、2年ほど様子を見て、問題がなければ、取引終了となります。

さて、パネル写真と、この記事との関係ですが、
最近ご注文数が多くなってきた[布貼り〜地塗り処理済み円形パネル]の縁の布が、
はたして[余分]なのか[必要]なのか?

俵屋工房の手工キャンバスの縁の部分は、将来の修復時に、作業しやすいように、
長めにカットしています。一方、今回、持ち込まれた修復作品の二方面の
キャンバスは、木枠の部分で切断されていました。この長さでは、新しい木枠に
張り直すことが出来ません。結局、布を貼りたすことに。

このことから、それまで円パネルの布を、エッジ部分でカットしていたのに対し、
2〜3センチ残すことで、「将来の修復作業をし易くしよう」と、いくつかのご注文分は、
このスタイルでお作りしました。

縁の布を、残すか残さないかについては賛否両論・・、
もう少し検討してから決定するつもりです。
2010/5/5

今春よりホルベイン製品の取り扱いを決定いたしました。

古い技法書にもあるトタン膠、鉄鉱床から採掘された天然顔料
本場ヨーロッパでも、
希少な天日晒し乾性油、天然白亜・・。
ホルベイン画材には、意外と知られていないヒストリックな素材や
魅力的な
画材がたくさんあります。

俵屋工房は、そのひとつひとつを制作者の立場で検証しながら
皆様にご紹介して
参りますので、今後ともご愛顧の程をよろしくお願い致します。

店主敬白
2010/4/15
忙中閑

今週は、見えない部分にマグマを感じさせるようなとても緊張感ある修復依頼が・・。

修復技術を含め描画技術面でも託せられるスタッフを確保することは至難の業。

また、お休みは延期・・。

*腹を決めて、30分だけでも近所の牧場に・・

久しぶりなのに覚えていてくれたようで、声を掛けたらゆっくりとこちらに・・。
今日は時間がないので、おやつも少しだけで御免なさい。

東京にいる時は、茶色からグレーの冬の山や森は、春になるとすぐに新緑に
包まれると思っていました。
数年前、この山里に移転してきたとき、新緑になる前に、クリーム色〜桃色・・に、
この時期の山は、まるでパレットのようです。その期間は僅かに4−5日ほど、
さらに細かく言えば午前と午後とで、その表情は一新します。

今年の中津川には、鮎の天然遡上もありそうです。
人の目には見えない自然界のあちらこちらで、活気が出てきているようです。
よい季節になりました。

ゴールデンウイーク中も営業しています。

例年、休みなく大学の研究室につめていらっしゃる先生方、研究生の皆様、
制作中のお客様・・、今年の連休も大方、工房で待機していますので、
御用がありましたら、ご遠慮なくご連絡ください。


2010/4/12

神戸のHY様の手工キャンバスが完成いたしました。
俵屋工房の刻印が済みましたら荷造りに入ります。
2010/4/18

俵屋工房には、様々なご要望が舞い込んできます。

無理難題も少なくありませんが、今までの経験からすると、その緊張感の中から、
より良いものが生まれてくるような気がします。
絵画表現とその魅せ方・・には、まだまだ工夫の余地がある。
というよりも、むしろ可能性に満ちていると、言ったほうが正しいと思っています。
2010/4/8

一番奥がグレイグレイ。手前がローシエナ。このパネルは工房で[リュートを
奏でる天使]のための支持体です(追って、制作過程をご紹介できればと
思っています)。白いキャンバスは、アイボリー。アイボリーは、一般的な張りキャンと
同じように使うことができますが、画面効果に合わせた下地色を施してから、
使用することもできます。

*支持体は、できるだけ乾燥させてからご使用ください。
2010/4/6

本年より下地用絵具は、すべてブロックス油彩絵具に変更しました。

写真は、絵具の食い付きを良くする為に、やや粒子の粗い白土。
堅牢性を
高めるためにマスチック溶液を微量添加してから、練り棒で練り合わせているところです。
このあと、ターペンタインを適宜、加えてから白亜地塗りの上に塗布します。

水性吸収地+油性非吸収地=? 半吸収地になります。

これまでに色々な処方を試してきましたが、O/WもしくはW/O、天然素材だけで
水と油を乳化(エマルジョン)させることに、無理を感じました。
俵屋工房では、かなり以前からこのふたつの成分を、画面上で重層することで、
支持面のエマルジョン効果を得るようにしてきました。
古い時代の一部の画家たちも、同様のやり方をしていたケースも
あるように思われます。
2010/4/3

神戸のHY様、同じく神戸のNM様、垂谷様。
ご注文の手工キャンバスとパネル製作に入りました。
2010/4/3

垂谷氏によるオーダーメイドパネルの製作風景

前回の布貼りに続く白亜地塗り塗料の塗布。

ブラッシュワークで最も難しいのが、ワニス塗布、続いて、この水性白亜地塗り、
最後は、絵具を使っての描画技術・・。

この塗料は、ある範囲内で、塗っているうちに乾燥してしまうので、次の塗布面との
境をムラなく処理するには、高度な技術が要求される。

・・果たしてこの支持体は、どのような作品となって、どの国のコレクションに納められるのでしょうか。

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先日、[ARI art management office]のディレクター(代表)の中村氏が、この支持体の
撮影と調査の為に、所属作家の垂谷氏と、わざわざ東京からお越しくださいました。

「現代アートは、コンセプトアート・・」そのコンセプトに表現的なアイデアだけでなく、物質的な効果、
いわゆる絵画表現の伝統技術を取り入れることに、新たな可能性を見いだされておられるようで、
具体的なご質問が、マシンガンのように店主に向けられる一方で、店主のお話にも、目を輝かせて
聞き入ってくださいました。

今後、このようなスタイルが海外でどのように評価されるかが楽しみです。

2010/4/1

垂谷知明氏の海外デビューに向けての支持体製作

側面にも布を貼付。この後、天然白亜と膠による水性地塗りを数層塗り重ねる。

前回よりも布目の縦横が正確に。エッジ部分の流れにも緊張感が・・。
作るたびに技術的にも完成度も進化していることがわかる。

・・垂谷氏の表現は、いわゆる現代アート。でもその支持体は、15世紀の板絵、
もしくは、法隆寺の玉虫厨子に共通する。


垂谷氏のHP
http://www.tarutanitomoaki.com/
2010/1/21

2009年作の[少女]の肖像画 

メールマガジンの読者様からのたくさんのメールありがとうございました。

いまだ、ご返事をお書きしておりませんご無礼、お詫び申し上げます。
「手の方は、大丈夫なのですか?」ご心配をお掛けいたしました。
少し前まで、肖像画の納期の遅れ、毎月増える新研究生さん、新製品の開発と販売準備、
作家会員のサポート・・などに追われ、手の負傷のことはすっかり忘れていました。
そして、ご心配をお掛けしました皆様にも、その後のご報告も疎かにしておりましたご無礼を、
お詫び申し上げます。

上の写真は、2009年の11月に完成、ご依頼者様には、大幅に遅れて納めました肖像画です。

右手の負傷は、お陰さまでこのような仕事もこなせるまでに快復いたしました。
制作当初は、かなり慎重に手を動かしましたが、後半は、新製品の筆の使いやすさも手伝って、
ブロックスの絵具の魅力を楽しみながら仕上げることができました。

現在は、利き手の管理は、以前以上に注意するようにしております。

お客様ならびに工房関係者の皆様に、ご心配とご迷惑をお掛けいたしましたことを、お詫び
申し上げますと共に、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

俵屋工房

店主敬白
2010/1/21
2010年1月12日第1号・俵屋工房メールマガジン

2010年・第一号のメルマガです。

・・といっても開業以来、これが最初のメールマガジンです。

*当店でのお買い物時〜通販店へのご入会時に[メルマガを希望しない]を、ご選択された
お客様向けにも、ご参照いただけるように、こちらに掲載いたしました。

***********************************************************************
塗物専門店 俵屋工房 ごあいさつ
***********************************************************************
このメールは、旧俵屋工房・現俵屋工房通販店をご利用いただいたお客様へ
お送りさせて頂いております。
***********************************************************************

俵屋工房店主の高橋と申します。

旧年中は、当店をご利用くださいまして誠にありがとうございます。
本年も、どうぞよろしくお願い申し上げます。

店主敬白

***********************************************************************
昨年末より新たに取扱い始めました商品をご案内させて頂きます。
お時間のあるときに、ご一読いただけましたら幸いです。
***********************************************************************

*美術大学・文化財保存研究所・絵画技術研究・絵師様へ

 ・幻のバルサム、さらに進化したストラスブルグターペンタイン
 http://www.tawarayakobo.com/shop/84_274.html

 ・厳選された品質のマスチックキオス樹脂。店主の知る限り最高品質です。
 http://www.tawarayakobo.com/shop/84_276.html 

*表現効果を意図して支持体を自製されるお客様へ

 クレサンベルギーロールキャンバス製品全品・円高還元で価格変更

 絹目〜双糸の荒目まで、生キャン・グルーキャンバスほかの価格が安くなりました。
 ・012G \130,620(税込旧定価) → \103,018(改定後・税込価格)送料弊社負担

 頑丈なケースに入っておりますので、長期保存が可能です。
 http://www.tawarayakobo.com/shop/26.html

*古典技法・写実表現・細密画・保存修復をされるお客様へ

 広島熊野の筆組合が認めた品質と機能性
 俵屋工房の筆に[熊野筆]の称号が与えられました。

 絵師の皆様からは「仕事がはかどる」と、お陰さまで大好評です。
 東京芸術大学大学院・油画研究室様にもご愛用いただいております。

 ・コリンスキー丸筆(黒丸) 0号−2号 2010年1月末・入荷予定
 ・イタチ平筆(金平)0号
 http://www.tawarayakobo.com/shop/59.html

*揮発油の匂いが苦手という方〜ブロックス絵具をご使用のお客様

 ・ヨーロッパの香りのターペンタインスピリット(テレビン油)
 ・石油の匂いが不快な方、一度お試し頂きたいホワイトスピリッツ(ペトロール)
 http://www.tawarayakobo.com/shop/83.html

*大型キャンバスを常用される方へ、さらに低価格のキャンバスセットを発売開始

 ・F150号→\ 23,415(税込価格)

 同サイズ商品との価格比較(弊社製品)
 張りキャン→\ 55,755 / キャンバスセット→\ 36,960
 http://www.tawarayakobo.com/shop/88.html

*技法DVDビデオ[17世紀・ルーベンスの技法]在庫あと1セットのみ
 http://www.tawarayakobo.com/shop/2.html

*その他

当店では、通販ページに未掲載の製品も多数、取扱っておりますので、
お探しの画材がございましたら、お気軽にお問合せください。

合資会社俵屋工房
〒234-0303 神奈川県愛甲郡愛川町中津6127番地
TEL. 046-285-5818 FAX.046-285-5820
info@tawarayakobo.com

俵屋工房本店 http://www.tawarayakobo.com/
オンラインショップ http://www.tawarayakobo.com/shop/
2010/1/4

2009年末に現在入手し得る最高品質のコールドプレスドリンシードオイルが入荷。
早速、今年のメディウム処方のための仕込みに入った。

様々な工業用途にも使用されるアルゼンチン産のような大量生産によるリンシードオイルに対し、
俵屋工房が仕入れるこの油は、「油彩画のために作られた油」と言っても過言ではない。

どこが異なるかといえば、例えば田植えを終えた水田は、そのまま放置すれば、遠かれ早かれ
雑草が繁殖する。それは亜麻畑も同様、しっかり畑を管理しておかなければ、亜麻の種子を
採取する際に、他の植物の種子なども混入する。したがって亜麻仁油としての純度や品質も低下する。

*現に、アルゼンチン産は、白土による精製時に、たんぱく質と思われる不純物が多く検出される。

「油彩画のために作られる油」とは、原料となる亜麻の栽培時の畑の管理と、収穫時の不純物の
混入防止、昔ながらの圧搾方法による。

昨年、この油と共に、ストラスブルグ ターペンタインとマスチック樹脂が入荷した。
店主は、ストラスブルグ ターペンタインは、油彩画技法を確立させた最も重要な立役者と推測して
きた。フレマールの画家もファン・エイクも、ほとんど同種のバルサムを使っていたと考える。
イタリアのファブリアーノ社の[ローマ紙]は、五百年以上、同じ製法で作られている。
おそらくダ・ビィンチもラファエルも使用したと思われるこの紙は、今も入手できる。
「彼らと同じ材料を使用し、同じ感触を共有し、彼らと同じ条件で絵が描ける喜び」を、
このストラスブルグ ターペンタインにも強く感じるのは、店主だけだろうか。

今年のメディウムは、ブロックス絵具の為の処方となる。混ぜ物のないブロックス絵具に適応する
処方は、当然、他のメーカー製品にも効果的であるのは言うまでもない。

過去の巨匠たちと同じ舞台で活動する私たち絵師にとって、先達と同じ材料で絵が描けることは、
伝統を継承するひとつの方法になるのかもしれない。
前に進んで進化するのも大切な道だが、後の道、すなわち過去の技術や材料を再検証して、
次世代へと繋げていくことも大切な道と考える。

店主は、古物愛好家ではない。過去のものに代わるる新しいものがあれば、大歓迎して
活用させていただいている。が、その一方で、絵に関するほとんどの材料が過去のもの、
あるいはチャンニーニなど古い時代の製法や処方の方が、格段に優れていることも、
長い間の実験と経験を通して熟知している。

*2010年度の描画用メディウムは発売は、6月頃の予定です。
2010/1/4
謹賀新年

【2010年度の年賀状】

明けましておめでとうございます。

昨年は北海道から九州に至る全国各地より、たくさんのお客様にご来店いただきました。
また、営業に関するご意見ご要望のほか、活動に対するご評価や励ましのお手紙、
さらにはお礼状や贈り物まで頂戴いたしました。

社員一同、謹んで御礼申し上げますと共に、お客様からのお声は、今後のお店作りに
結び付けて参りたいと存じます。
今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

2010年1月  俵屋工房店主 高橋亮馬
2009/12/22
年末年始の休暇のご案内
年末・年始の休暇のご案内
12月30日(水)〜1月4日(月)

年内ご注文受付日
在庫分:12月29日(火)迄
基底材類:12月24日(木)迄

よろしくお願い致します。

*ネット通販のご注文は、休暇中も受け付けております。
在庫確認を含みます[ご注文確認メール]は、休暇明けとなりますので、よろしくお願い申し上げます。
2009/10/6

コリンスキーの[黒丸]に続いて、2009年10月・イタチの[金平]の誕生です。
とにかく仕事が、はかどる筆。名筆と呼んで、ふさわしい品質です。

[イタチ金平]と[コリンスキー黒丸]は、[熊野筆]としての称号を与えられた世界唯一の油彩画筆です。
2009/9/18


大変ご無沙汰してしまいました。

6月上旬の右手の怪我につきましては、関係者の皆様に多大なご迷惑とご心配を
お掛けいたしました。深くお詫び申し上げます。

約3ヶ月間のブランクは、また絵が描けるようになった喜びと、皆様への感謝の気持ちをもって、
今後の活動の原動力とさせて頂きます

復帰後の、本格的なサイト更新は、意外と知られていない[筆の洗い方]がテーマです。

プロの絵師たちによる、日々の筆洗方法です。お役に立てれば幸いです。
2009/5/30
日本最大級のショッピングモールに出店。

2009年6月5日・俵屋工房ヤフー店開店

6月中は開店記念特別価格営業を実施しますので、この機会にぜひご利用くださいませ。

詳しくはこちらをご覧下さい。http://www.tawarayakobo.com/70.info/yohoo.open-info.html
2009/2/24
ラピスラズリの考察[5]ラピスラズリという材料とその手法

現在は、コレッジョの空と木々でこの絵具のパフォーマンスを確認しているところだが、
赤土という暗色地への一層目で、ここまで発色するとは想定していなかった。(2/16の写真)。
まさに松川氏による「・・材料への理解が不可欠と感じました。」とのお言葉どおりである。

コレッジョの作品のマリア様の周辺の下絵が準備できたら、今度は青い衣装で、
ラピスラズリを見分する。下絵の手法との連携が欠かせない部分だ。
そこで当初は二種類の手法で様子を見ながら処理する予定だ。

先人たちと同じ材料に触れることで、先達がいかに材料を大切に扱っていたかを知る。
そして、材料とその使用目的とのバランスを見計らいながら合理的に仕事を
すすめていたことも。

すでに活用されている方からは、感謝の言葉が寄せられている。

自然食と自然色は、からだに優しい。この絵具で最初に描くモデルは「富士山」に決めた。
2009/2/24
ラピスラズリの考察[4]ラピスラズリという材料とその手法

レンブラントの風景画と、このフールマンの肖像の背景をご覧頂きたい。
そして、青空と暗雲との境目に注目してほしい。高橋メソッドでは、こういった処理を、
境目は・・「はらうように」「ステイジングするように」「ブリッジさせないで・・」と指示する。
つまり、双方の絵具を「接触させない〜混ぜ合わさない」ということだ。
スルバランで直感したことは、ラピスラズリに茶色や黒を混ぜることの無意味さだ。
明から暗へのグラデーション、その境目の処理は、ラピスラズリの青を減少させ終えたら、
下層の色層に引き継がれるのが、基本的なやり方のようだ。
2009/2/23
ラピスラズリの考察[3]ラピスラズリという材料とその手法

俵屋工房製品のフィールドテスターとしてもお世話になっている松川氏にも
このラピスラズリを送った。

松川氏は、いみじくも「昔の顔料というのは、最高の色を出すためのノウハウが
個々の顔料によって異なるようで、材料への理解が不可欠と感じました。
(http://www.cad-red.com/jpn/index.html [西洋絵画の画材と技法])と、
ご自身のサイトで述べられた。やはり実践者の言葉には重みがある。

新鮮な食材も貴重な天然色材も、生かすかダメにするかは、熟練した職人でさえも紙一重。
いままで当たり前のように行ってきた古い時代からの青の扱い方は、
まさに、先達とこのラピスラズリとの調和をはかった手法であったのだ。
2009/2/23
ラピスラズリの考察[2]ラピスラズリという材料とその手法

コレッジョの絵の前に、スルバランの暗い背景でラピスラズリを試用してみた。
赤土と黒のベースの上に、白を混ぜたラピスを乗せた。訳あって変則的な
やり方をしたが、直ちに筆を止めた。合成ウルトラマリンならば、青く染まっただろう。
しかし、天然のラピスは、とてもナイーブだった。と同時に先達のラピスラズリの
扱い方との接点を再認識することになった。
2009/2/23
ラピスラズリの考察[1]

俵屋工房の壁面を見ると、ブロックスのラピスラズリによく似た青がたくさんあることに気付く。

この絵具と出会う前は、天然のラピスラズリの色を特に意識していたわけではないが、
こうしてみると合成ウルトラマリンをチューブから出したら、その強力な色合いを
直ちに弱めることから仕事を始めていたのだ。
2009/2/16
ラピスラズリの試用報告[5]

第一層目の下絵でこの状態だ。

この絵は、実績ある現代作家による研究作品である。・・ベテラン作家だが、
古典技術の経験は、それほど長くはない。とはいえ、画面左側の木々は、
すべて本人が描いたものだ(ラピスラズリとイエローオーカーによる緑の表現に注目してほしい)。

ご本人を褒めるべきか、ラピスラズリを褒めるべきかだが、共に計り知れぬ
可能性を感じたことには間違いない。

次の制作工程が待ち遠しい。
2009/2/16
ラピスラズリの試用報告[4]

ブロックスのイエローオーカーに、不安と希望と共にラピスラズリを混ぜ合わせた。
そして、いつものように緑のグラデーションをパレットに準備した。このグラデーションの中から、
目的にあった色合いを選んで画面に運ぶ。

人工のウルトラマリンよりも量的に多く必要だが、それ以上に美しい緑が得られることを知る。

これにインディアンイエローを加えたなら・・と心が躍る。
2009/2/16
ラピスラズリの試用報告[3]

フレークホワイトと混色したラピスラズリは、暗色地のレッドオーカーの上でも驚くほど良く発色した。

青空から白い空(雲)へと推移させる技術は、人工ウルトラマリンよりも遥かに簡単だ。

青空での試用は合格、というよりも、むしろ絵を描くことに、一層の可能性と楽しみを教えてくれた。

青空の次は、遠景の山の表現だ。
2009/2/16

左側は、ラピスラズリにフレークホワイトを加えて色調整したものを塗ったもの(ターペンタイン)。

右側は、ラピスラズリをそのままターペンタインで溶いて塗ったもの。
合成ウルトラマリン同様、暗色地への塗布は発色を黒ずませる。
2009/2/16

コレッジョの作品で実際にラピスラズリを試してみる。

作家部会の会員の研究作品をお借りしての試用
*高橋メソッド・中津美術研究所内にて
2009/2/5
[lapis lazuli]10g入り

俵屋工房が、10gにチュービングした製品。
そもそも絵具は、何年も保存できるように作られていたものではない。
絵具は、出来るだけ新鮮なうちに使い切るのが理想。
技法用途からしても、分量・保存性・価格面でも理想的なサイズにしたつもりだ。

現在、この製品の在庫数は9本のみ。

10g入り \ 2,890 (税込)
2009/2/5
[lapis lazuli]が届く

lapis lazuliが入荷。
ラベルは一本ずつ製作者による直筆。
マスチックと混ぜ合わせた後に石板を洗浄すると、パレットの青色は一度で除去できた。
ラピスを練り合わせる前は、黄色のアゾ系有機顔料に使った。
完全に色を取り除くのに10回ほど繰り返しホワイトスピリットで洗浄した。
・・着色力と発色力の違い・・天然物と化学合成物との違いを再確認した。
この絵具への探究心が、さらに深まった一日だった。
2009/1/30
俵屋工房[古典絵画専用筆]を試用

古典的な描き方をする場合は、[アイラインと眉毛]が描ける丸い細筆2種類が必需品である。
それ以上のサイズの丸筆は、「どのようなものでも良い」といっても言い過ぎではない。
すでに試用しているが、スタッフからは「うれしそうな顔して描いてますね」と
言われれば「うれしいから」と答える。製品化まであともう少し。

発売記念として先行予約販売を予定。期間限定の割引価格などについては、
新着情報ページにてお知らせします。
2009/1/30
広島の熊野から[古典技法専用筆]の試作が届く

30年来フランス製の筆を使い、多くの研究生にも薦めてきた。
しかし、十年近く前から急速に品質が低下し始めた。「絵を描く人が
作ったものではない」「絵を描くための道具であることを知って作っているのか」
・・疑問が募る。

「先生に薦められた筆と刷毛です」「酷過ぎます」と原物を送ってくれたお客さんもいた。

「やはり現場の人の身になって作ってくれる職人さんを、探さなければならないか」
それも今すぐに。

筆の開発に必要な調査と研究は行ってきた。しかし、数十分の会話を通じて、
一週間後に届けられたのが、写真の筆だ。
筆職人様と俵屋工房の筆にもとめるものは、最初から一緒だったのだ。
2009/1/27
[lapis lazuliについて]BLOCKX社の回答が届く

「本当に天然なのか?一部に天然?合成顔料で作った天然風の色?」
どれも失礼な質問だが、無礼を繰り返した。以前よりも返答が遅かった。
「三度目の正直」やはり、ヒンシュクを買ってしまったか?

The lapis lazuli is indeed genuine pigment from Chile non mixed with any
other pigment. Your answer was thus correct.
This pigment is of the highest durability and can be mixed with all
other pigments. It is probably one of the strongest pigments.
In fact it is the ancestor natural of the modern ultramarine synthetic.

Sincerely

Jacques blockx

2009/1/19
[lapis lazuli]との出会い

1月19日、BLOCKX社製品を輸入するクレサンジャパン社に、油彩絵具の目視にお邪魔した。

倉庫の棚から約30色ほど候補を取り出して頂いた。一時間半ほどで10色を厳選し終えた。
と何故か1ケースだけ箱が残っていた。

ラベルは「手作り」だった。

[lapis lazuli]だ。

指定外の絵具だったし、簡単に目の前に現れるような絵具とは夢にも思っていなかった。
lapis lazuliと関わった人ならば、誰もがそう思うはずだ。

この絵具との強い縁を感じた。

発色は、2005年に俵屋工房が手掛けた[親指のマリア(東京国立博物館蔵)]の
衣装にも似ている。フラアンジェリコやランブール兄弟の青とは異なるが、
身体に優しく染み渡る魅惑的な天然色だ。

「この空は・・」「この青い衣装は・・」天然のラピスラズリで描いた。
となれば、その作品の一部は、宝石で表現されていることになる。
作者もコレクターも気をよくするはずだ。

メーカーの販売単位は、日本向きではない。俵屋工房では、入手しやすい
分量にチュービングしてから販売。
*工房関係者向け用に、マスチック入りを製品化する。価格は未定だが、
数十年前までイギリスのメーカー製品には、5万円が必要だったが、
俵屋工房では、5ml〜6mlで3千円前後。メーカー直のノーマル品は
[22ml \6400〜\6800]を予定。

写真は、ラピスラズリとフレークホワイトとの混色実験風景

価格が決まりました。
22ml \ 6,720 (税込)発売中
2009/1/16
[FLAKE WHITEについて]BLOCKX社の回答が届く

BLOCKX社のフレークホワイトを初めて持った人は、ずっしりとした重さに驚く。
フレークホワイト、広義的にはシルバーホワイトは、多くのメーカーがジンクやチタニウムを混ぜる。

以前に関係したドイツのメーカーも同様だ。当初は顔料密度の高さと
解釈していたが、その白さは経年しても変わらない。調査結果は
純粋なシルバーホワイトではなかった。

手にした感触、使用感を含めて100%シルバーホワイトだと思う。
しかし、俵屋工房のお客さんは曖昧な説明では納得しない。失礼を承知で、
「混ぜ物はしていないか」と、問い合わせた。

・・PW1 is only load carbonate and poppy seed oil.

2009/1/7
[使用する結合剤について]BLOCKX社の回答が届く

黒の結合材はリンシードオイル。その他はポピーオイルを使用。
乾性油はどれも良質なものを厳選して使用している。

BLOCKX社の数十種類の油彩絵具の中から10色を選出。
描くときに使う組み合わせは、通常8−9色。これでルーブルのほとんどの
名画を複製することができる。

絵画用のペンキも原色は僅かだ。職人たちは、その原色を組み合わせて
幅広い色彩を作り出す。それは油彩画も一緒だ。
2008/12/8

俵屋工房では、2008年秋より美術館やコレクターが安心してご購入いただける
高品位な支持体の発売を開始

美術館・画廊・コレクターから高く評価されてきた作家仕様キャンバスを、ぜひ一度お試しください。
2008/10/8

献呈いたしましたドイツのDr.KREMER先生より感謝状が届きました。

グッドデザインとありがたいご評価を頂きました。