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店主の部屋にようこそ

 

俵屋工房店主の高橋です。

初めてのお客様も、ご常連のお客様も、店主の部屋に

ようこそお越しくださいました。

ネット上ですので、お茶もお出し出来なくて申し訳ございませんが、

どうぞごゆっくりお過ごし頂ければ幸いです。

 

俵屋工房ってどんな画材屋さん?

 

ご店主も絵を描くのですか?

お店に行って、直接買えますか?

天然白亜、売っていますか?

どうしてブロックス絵具なのですか?

木枠を買うと植樹活動に活かされるのですか?

画材店の者ですが、お尋ねしてもよろしいですか?

・・・

 

よくあるご質問について、店主がお答えいたします。

 

店主の仕事

 

絵を描くことと、絵を指導するのが本業です。

「画材店は副業?」ということではありません。

色々な絵を描いたり、表現方法を工夫したり、作家活動をサポートしたり、

そんな時に欠かせないのが画材です。

絵を描くこと、何かを絵で表現すること、

それは材料(物質)を組立てることでもあります。

伝統的な表現をしたかったり、人と変わった表現をしたかったら、

特殊な材料、珍しい素材が必要になります。

 

ある時期までは、ヨーロッパで「昔の松脂や鉛白が入手できる」と知れば、

直ぐに渡欧することもしばしばでした。

今日では、ある程度の材料を確保することができていますが、

日本では、入手困難な材料は、まだまだたくさんあります。

絵を描くために、より良い画材を作り、探し、そして入手して

お客様に橋渡しすることは、絵を描くための、

一環した行為のひとつと考えております。

 

 

絵との出会い

 

店主が絵を始めたのは、小学3年生の時です。

きっかけはベラスケスの絵と出会ったことです。

初めて描いたのは、マルガリータの肖像です。

その後は、レンブラントを描きまくりました。

しかしカタチは似ていても色合いが違います。

最初の絵の先生に原因を尋ねると、「よく解らない」とのこと。

「画材屋さんなら何でも知っている」と思ったので、

ヨーロッパ製品が勢揃いする大きな画材屋さんを訪ねました。

細長いお店の奥には、ベレー帽の常連さんらしき画家さんが数名。

早速、「ベラスケスの下地とレンブラントの赤について」尋ねると、

店長さんは首をかしげて、奥の常連さんの元へ走りました。

皆さんこちらを見ながら何度も首を傾げている様子。

店長が戻って来て「ベラスケスって何ですか」との返答に、

唖然として店をあとにしました。

その後、テレビドラマにもなった画家の先生にも入門しました。

しかし、自分が知りたい問題とは、まったく異なる描き方。

教えてもらうよりも、逆に色の出し方を質問してきたり。

これでは問題解決には至らないと子供ながらに判断。

3日目で門を飛び出しました。

 

 

絵画学習のための対策

 

「今風の油彩画の描き方と、古い時代のそれとは違う」

「絵の先生に名画の技法を聞いても、先生たち自身が知らない」と、

絵を始めて、間もなく知ることになりました。

そして自力で辿り着いたのが[解らないことは、名画に直接聞け]です。

「絵を描けない専門家による無責任な技法解説」

「絵を知らない人が訳した問題だらけの技法書」は、

多くの初学者たちに、時間と経済的な負担を与え続けています。

そして、結果的には、問題の大半が解決には至らないのです。

その点、先達が描いた名画は、真実の宝庫です。

第一級の絵画技術の情報に満たされた技法書です。

 

とはいえ、名画を見て、その絵がどのように描かれたかを

解析することは、至難の業です。古い時代の描き方が、

今日に伝わらなかった所以でもあります。

科学の進歩によって、名画に使用された材料のほとんどが、解明されています。

しかし、「どのように描かれたか」という問題=技術については、

最先端のソニーの分析装置でも、解明することはできません。

 

名画の技術を解明する方法は、音楽家がバッハやモーツァルトの作品を

何度もコピーしながら、個々の特質や全体の調和などを、経験を通じて

認識を深めていくのが、唯一の方法です。

店主が編纂した[高橋メソッドの技法教則本]は、まさにそうやって

先達の技術を何度も何度もひも解いてから、解りやすくまとめた

現代の絵の教科書なのです。

 

 

こんな画材屋さんがあったらいいな

 

絵をはじめて一年ほどで、誰にも頼ることが出来なくなったあの頃。

その孤独に耐えられたのは、いま思えば、名画の魅力のお陰です。

この世にご本人はいらっしゃらなくても、巨匠たちが残してくれた名画は、

幸せなことに自転車で通える範囲にもたくさんありました。

上野の西洋美術館と東京のブリジストン美術館へは、

月に何度も出掛けました。

 

「店先では、アングルやコローの模写をお店の人がしていて、

本物のように仕上がった絵は、店先に飾って売っていて、解らないことは、

丁寧に教えてくれる画材屋さん・・。」

こんな画材屋さんがあったらいいな。

子供の頃の思いは、少しずつその内容を具体化していくことに。

 

 

俵屋工房ってどんな画材屋さん

 

俵屋工房は、博物館や個人様向けに、複製画や肖像画の

注文制作をしています。

それぞれ目的が異なる絵の制作は、例えば、古い時代の名画に

使われた[バルサム]、あるいは[ラピスラズリ(顔料)]といった、

様々な画材と接する機会でもあります。

1990年代、ヨーロッパでは、さほど珍しくない画材でも、当時の日本では、

入手できなかった画材、その名称すら知られていない材料も

たくさんありました。

 

歴史的な素材、品質の高い材料、「こういった画材を探している人に、

あるいは必要としている方に提供したい」。「こういった材料を必要とする人を

増やしたい」との思いから、俵屋工房はインターネット通販を始めました。

 

当初は、工房での制作や研究に使うものだけを販売していたので、

業種は[画材店]です。とはいえ、一般的な画材は、ほとんど扱っていない

という風変わりな画材店でもありました。

そのスタイルは、今もさほど変わっていませんが、当店独自の画材を含め、

その品数は、年々、少しずつではありますが増えています。

 

*当店の旧ホームページは、こちらからご覧いただけます。

 

 2007年秋、ローマ法王グレゴリオ13世が描かせた肖像画の

複製画を完成させました。

ご依頼先の長崎県では、博物館の入り口に、この複製画と本物を並べて

お披露目するという、たぐい稀な展示方法で、俵屋工房の技術力の

高さを世界に知らしめました。

2004年から2007年までに、この重要絵画を含めた数点の複製画を

完成させて博物館に納めました。そして、この歴史的な事業が

一段落したことを機に俵屋工房では、画材開発と通販部門に着手しました。

 

「こんな画材屋さんがあったらいいな」の思いを、

今は、店主自らカタチにています。

 

 

近い将来

 

俵屋工房は、ただ画材を販売するだけではなく、

[絵画複製技術国内最高品位]指定工房としての経験と実績を

活かして、様々な絵画技術情報を提供して参ります。

その一環のひとつに[技法DVDビデオ]の出版があります。

俵屋工房画材部の当面の目標は、これらの媒体を通じて、

ビデオ内で使用しているものとまったく同じ画材を使って

絵が学べるように品揃えすることです。

 

 

画材屋は、絵を描かれる方々の、縁の下の力持ち

 

当店では、取扱い製品の組成(一部のMSDSを含む)や特長のほか、

制作現場での実践情報を可能な限りご提供しています。

また、表現に合わせた材料選びから特色ある活用方法。

それらのアドバイスには、定評と実績があります。

 

古い時代の工房では、キャンバスや絵具や画用液など、

それぞれ役割分担しながらの集団制作が行われていましたが、

印象派の時代以降は、すべて自分でやるのが主流となっています。

毎日制作に追われる絵師の方たちにとって、理想的な材料の自製は、

大変なことです。

俵屋工房は、そんな絵師の方に代わって、良質な絵の原材料を

ご提供しております。

 

「こんな支持体は作れませんか」

「こんな画肌に仕上げたいが、どのような材料が良いか」といったご相談にも、

可能な限り対応いたしておりますので、一度、ご相談ください。

 

 

メーカーは、画材店にとっての縁の下の力持ち

 

画材屋は、[メーカーの製品]を[絵を描く方々]に橋渡しする存在でもあります。

 

お客様に良いものを提供するには、メーカーや工場との関係が大切です。

画材店のサービスが「どこよりも安く売りたい」と発想すれば、

メーカーの利益が減少し、品質が低下するだけでなく経営すら危うくなります。

俵屋工房は、メーカー様には、良質な画材を今後も作り続けて頂きたいので、

値引きをお願いしたことは一度もありません。むしろ「製作意欲につながる

適正価格にするべき」と、ご意見することもあります。

 

例えば、木枠は、技術力の高い日本だからこそ作れる構造と品質です。

他の国には類を見ない優れた木枠が、数年前の量販店では、3号で230円で

販売されていました。異常な価格です。製造者は間違いなく赤字です。

価格競争は、同業者同士で首を絞めあうだけではなく、

画材の品質低下のみならず、メーカーの存続の危機、

最終的には私たち消費者が困ることになります。

 

俵屋工房は、値引きだけが、お客様へのサービスとは考えいていません。

例え百円の絵具でも、無計画、無駄に使えば、一度になくなってしまいます。

千円の絵具でも、その日の制作に使う量だけを計画的に絞り出せば、

十回でも二十回でも使用できるわけです。

また、鉛、砒素、カドミウムなど、廃棄する量を極力少なくすることで、

環境に優しい制作ができます。

経験者による様々な情報提供は、他店よりも割引率を高めることよりも、

お客様にとって、はるかに有益なことも多々あると考えます。

それはまた、二十年以上前にお世話になっていた画材店様で、

店主自身が経験し、そして実感したことでもあります。

 

大きな画材店様とメーカー様とのお取引量は、当店とは比較にならないでしょうが、

それでも、どのメーカー様も俵屋工房の細かい注文に、

いつもご丁寧に対応して頂いております。

メーカー様は、当店にとっての大切な縁の下の力持ちです。

いつも感謝しております。

 

 

俵屋工房は古い時代の絵しか感心がないの?

 

その絵が描かれた時代の新旧は現実問題として明確に存在しますが、

表現としての新旧は付けがたい、もしくはつける必要もないと思います。

人物、風景、静物、動物・・といった表現のテーマは、数千年前から

変わっていません。

写実的にリアルに描くのが古い古典絵画。

一概にそうは決め付けられません。

さらに古い時代のポンペイやアルタミアの絵は、写実表現ではありません。

理解しやすく簡素化した象徴的表現です。

店主としては、技術も理屈も時代をも超えた神聖な絵画に見えます。

 

俵屋工房では、高橋メソッドという美術研究所を併設しています。

以前、この研究所で学ばれていた方が、海外の美術大学に留学されました。

店主と面識のある他の学生さんが、「高橋メソッドとこの学校に、

どんな接点があるの?」と、元研究生に尋ねたそうです。

つまり、「高橋メソッドは、古い絵を教えるところ、この大学は新しい絵を教えるところ」

との認識から出た設問だったのでしょう。

結果的にこの元研究生の方は、帰国後、高橋メソッドに再入門されて絵を学び、

間もなく開催した日本での最初のエキシビションでは、

石橋美術財団が作品を買上げ、その後、同財団の会員作家となりました。

店主が、将来、作家で活動することを前提に指導することを

お請けした最初の方です。

現代アートを表現するために、高橋メソッドで伝統様式と表現技術を学び、

それを立脚点にして、独自の絵画表現を展開したのです。

 

ちなみに同財団が入手された現代作品の下地ですが、

これには、数種類の天然土と牛乳から作る昔ながらの結合材を使いました。

古代の洞窟の壁面を意図して準備したものです。

つまり、この現代アート作品は、古代の壁面とのコラボによって

表現されているのです。

果たして、この絵を、古典絵画よりも古臭い絵と見る人は、

どれだけいらっしゃるでしょうか。

また、2010年より現代作家の垂谷氏の制作活動にも、

店主が関わるようになりました。

同氏もまた将来有望な現代アーティストのひとりです。

 

店主が古典絵画の信奉者であり、前時代の巨匠たちの追っかけ専門でしたら、

現代絵画など見向きもしないでしょうし、現代作家とは、

口も利かなかったかもしれません。

どの時代の絵も、どのような表現方法でも、絵は絵です。

 

*高橋メソッド・中津美術研究所の技法史の系譜では、

「15世紀・ファンエイクの技法様式の流れは、近代ではキリコ〜ラウル・デュフィ

へ波及」と解説しています。

 

*ド・ラングレは、「ファンエイクの塗り重ねの透層の発色を、

ジェル状のメディウムを使うことで、厚みある透明なタッチをひと塗りで

表現する方法を、デュフィに提案したのではないか」と、店主は考えています。

デュフィ作品は、ある時期から筆跡も色合いも一新します。

その流動的でみずみずしい画肌は、15世紀の技術を現代的にアレンジした

と思われるデュフィ独自の斬新な技術です。

 

 

お店に行って、直接買えますか?

 

俵屋工房のスペースの大半は普段、絵の制作・製品仕分け・ビデオ撮影などに

使用しています。

普通の画材屋さんのように、商品のほとんどは、見えるところには、

並べられていません。

 

工房に直接お買い物にいらっしゃるお客様は、来店日のご予約とご購入品目を

事前にご連絡いただいています。

ご依頼の商品は、ご来店前もしくはご来店後に机の上にお出ししています。

昔のちりめん問屋のようなスタイルです。

 

一般の方をはじめ、美大生の方や作家様、大学教授など、

幅広いお客様にご来店頂いています。

せっかくだからと、お仲間を誘って店主の話を聞きにご来店くださる

お客様もたくさんいらっしゃいます。

ご来店の予約日は、毎週水曜の午後を目安としていますので、

どうぞお気軽にお申し付けください。

 

人数が集まれば、手工キャンバス〜パネルの作り方など、

各種支持体の製法や、人物画や静物画の描き方の講習会も

行っていますので、ぜひご利用ください。

 

*大型キャンバス〜木枠など一部の製品は、メーカー様の工場で

在庫させて頂いているものもございます。

 

 

天然白亜は売ってますか?

 

販売しています。通販ページに載せていない製品は、他にもたくさんあります。

何かありましたら、お気軽にお問合せください。

 

 

額縁は、売ってますか?

 

扱っています。モールディングから手彫りまで、長年、店主とお付合いのある

メーカーとその職人さんの方々に、いい仕事をして頂いております。

 

また、工房の近くには、大手企業の工場やセンターが集まる工業団地があり、

絵がお好きな社長の会社様からも、ご利用いただいております。

 

通販ページでは、新しい額縁の選び方で、お客様の絵に最も似合った

モデルをお選び頂けるようにしています。

 

 

どうしてブロックス絵具なのですか?

 

一通りご説明すると、一冊の本になってしまうと思いますので、

ここではふたつのキーワードに分けて、簡単にご説明いたします。

 

その他の詳細につきましては、別枠を設けて、

ご説明させて頂きたいと思っています。

 

 

第一のキーワード: [鮮度が良い] [最高品質の顔料]

 

*鮮度が良い・・について

ブロックス絵具は、年に一、二度、ある時期になると欠品が目立ち始めます。

取引当初は、「困ったな、お客さんにお詫びしないと、在庫管理は

ちゃんとしてほしいな・・」が正直な思いでしたが、

そのことによって重要な事実が分かったのです。

それは、ブロックス社が、必要以上に大量生産をしていないということです。

 

年に数回に分けて、いつも出来立ての絵具をベルギーから神奈川県まで

届けてくれているのです。

 

*最高品質の顔料・・について

輸入絵具のカタログには、どのメーカーも[最高級の専門家用油絵具]といった

内容が記されています。

果たしてその根拠あるいは対象基準は、どこにあるのでしょうか。

 

俵屋工房が[最高品質の顔料]とする対象は明確です。

それは第一に顔料の安定性です。

 

ブロックス絵具の販売を開始する前に、すべての絵具と

その組成資料に目を通しました。

驚いたことに、いくつかの絵具に使われている顔料のデータが、

店主のカラーインデックスに載っていませんでした。

ブロックス社は、良質な顔料が発明されると、必要と判断した絵具は、

その名称と色合いを変えずに最新の顔料に変更しているのです。

お世辞抜きに、まさに「妥協しない姿勢」とは、このことではないでしょうか。

 

とはいえ、最新の顔料だからといって、最高品質とは言い切れません。

油彩画用の顔料として大切なのは、色合いは言うまでもありませんが、

もうひとつは冒頭の[安定性]です。

 

例えば、[有機顔料は耐光性に劣る]というのが、前時代までの共通認識でした。

しかし、ブロックスのインディアンイエローは、天然無機顔料と同じ

[BWS-7](*1)と、顔料の中では最強レベルの安定性を誇ります。

 

ブロックス絵具の初期調査には、こんな思い出があります。

代理店にサンプル用の絵具を購入しに行った時のことです。

普通のメーカーならば、最低ランクの価格帯のつもりで購入した数種類の絵具。

あとで請求書を見て驚きました。予想をはるかに超えた金額だったのです。

しかし、その驚きは、工房に戻って絵具の組成などを確認することで、

高価な理由についてすぐに納得しました。

代表のジャック氏をはじめブロックス社の考え方は、コストよりも、

はるかに品質を重視されていることを再認識しました。

 

(*1)BWSとは、耐光性国際規格(ブルー・ウール・スケール)の意

 

第二のキーワード:

[絵具状になっていること]

[余分な添加物が入っていないこと]

 

第一のキーワードは、万人向けですが、こちらは、

専門家の中でも「さらに拘りのある方向け」のキーワードです。

 

例えば「市販品では、バロック絵画の模写には向いていない」と、

メーカー製品が批判されることがあります。

古い時代の絵師たちは、自分の表現に合わせて絵具を手作りしました。

「画家の数だけ絵具のメーカーブランドがあった」といってもよいでしょう。

したがって、ひとつのメーカー製品で、フランドル絵画から印象派まで、

対応させようとするユーザーの要求自体に、無理があるのです。

 

店主は、博物館からの複製画の依頼を受ける前に、

先ずは、その絵に最も適した顔料と手練り絵具の処方を検討します。

メーカー様には失礼ですが、この時の店主の脳裏に市販絵具は

全く存在しません。少なくともブロックス絵具の深部に触れるまでは・・。

 

*絵具状になっていること

「なんでそれが、キーワードになるの?」

「市販絵具なのだから、そんなの当たり前ではないか・・」

との声が聞こえそうですが、「絵具練りを経験された方」。

さらには「使い物にならない絵具しか作れなかった方」

圧倒的に多い「うまく作れないので、今は市販絵具に頼っている」という方なら、

すでにピンと来た方もいらっしゃるでしょう。

 

絵具を自製するのに、最も難しいのが[viscosity]、適度な粘性と、

その安定性を得ることです。

一方、絵具の手練りの場合、基準的かつ最もシンプルな組み合わせは、

[顔料と乾性油]だけによるものです。

せっかく絵具を自製するのに、メーカー製品と同じように、この段階で、

体質材や安定剤、あるいは増量剤を添加する人は

いらっしゃらないと思いますので、あとの作業は、

パレット上で、如何にして顔料と結合材を[絵具(ペースト)状]にするか。

そして、顔料によっては、何日間寝かせてから仕上げるか・・と言ったところです。

がしかし、これがまた難しい技術なのです。

日本で手練りを実践されている方が、極めて少ない理由であり、

また、画期的な構造の俵屋工房の練り棒が、国内で売れない所以でしょう。

 

*余分な添加物が入っていない

ブロックス絵具は、基本的に[顔料と乾性油]で出来ています。

そのことについては、同社のジャック氏との執拗なやり取りを通じて確認済み。

さらに使用結合材の乾性油の種類も公表しています。

 

そろそろお気づきになられた方もいらっしゃることでしょう。

「絵具(ペースト)状になっていること」のキーワードの大意が・・。

 

ブロックス絵具は、絵具に混ぜ物をする必要のない私たちが、

絵具を手練りするときの最小限の処方、

つまり[顔料と乾性油だけ]で、

ペースト状の絵具を作ってくれているのです。

 

手練り絵具は、一度練ったら、パン生地のように寝かせます。

数日間かけて顔料と結合材とを馴染ませるのです。

(この段階で樹脂溶液やバルサムの混入は、その絵具を腐らすことになるので厳禁)

 

@[寝かせ終わった絵具]は、もう一度、練り板に戻して、

A[新鮮な樹脂溶液やバルサムを加えて練り合わせて仕上げます。

出来上がったらチューブに詰めて完成です]。

 

ここで、これまで説明してきた

「ブロックス絵具と手練りの接点について」要約します。

 

手練りにおける[@]までの状態を、ブロックス絵具に担ってもらう。

粘性は、[顔料と乾性油]だけで手練りしたとすれば、極めて良好な状態。

ブロックス絵具と空チューブを用意したら、

必要量の絵具を練り板に搾り出して[A]の作業を行う。

 

これだけで、巨匠たちに引けをとらない、理想的な絵具に

リメークすることが出来るのです。

 

店主によるもうひとつの方法を、簡単にご紹介しましょう。

ブロックス絵具の明るめの絵具には、大方、ポピーオイルが使用されています。

結合材にリンシードを使うか、ポピーを使うかは賛否両論あり。

最終的には、その人の好みに委ねられるでしょう。

店主はどちらかと言えば、リンシード派です。

 

そんな店主としては、

ボリュームを得るために厚塗り用途の多いフレークホワイトにポピーオイルは、

使用感からしても少々アンバランスに感じています。

ですから、この絵具をリメーク(再練り)する時は、ある程度まで油抜きをしてから、

自製したリンシードオイルあるいはスタンドオイルと、その他の樹脂を加えて

堅牢性を高めます。

 

ブロックス絵具で、数点の絵を描いているうちに、

なぜ、同社が堅牢性の高いメディウムに拘るのか、

なぜ、[PAINTING SOLUTION][AMBER VARNISH]なのか、

店主なりに理解することができました。

 

市販絵具の処方上のコンセプトとして重要なのは、

[画材店の棚で何十年経っても、チューブ内の絵具が固まらないこと]

ではないでしょうか。

私たちユーザーが絵具に求めることは、それとは正反対で、

「キャンバスに塗った絵具は、頑丈な塗膜を形成(固着硬化)すること」です。

この頑丈な塗膜を得るためには、樹脂やバルサム成分が必要です。

しかし、これを大量生産される市販絵具に加えれば、賞味期限は極端に

短くなります。だから、ブロックス社は、別売りという形で、

[後付け]しているのだと思われます。

油彩画の伝統、私の恩師は、これを[油彩画技法の秩序]という言葉にも

置き換えて大切にしておられましたが、ブロックス社は、この言葉を

頑なに守り続ける世界唯一のメーカーではないでしょうか。

店主は、このメーカーの大ファンです。

予断ですが、食べ物に[自然食]があるように、

絵具にも[自然色]があります。

自然からの恵みが、身体に優しく染み渡るように、

自然からの色材もまた、目から優しく体内に染み渡って参ります。

特に同社のラピスラズリとの出会いは、とても感謝しています。

 

今は、ブロックス絵具にすっかりはまっています。

 

*俵屋工房では2010の春、BLOCKX用に堅牢性を強化した処方による

[RT. Painting Medium]を発売する予定です。(ストラスブルグ ターペンタイン配合)

(一般的な古典技法(塗り重ね)には、現在販売中のメディウムでも

充分対応可能ですが、厚塗りする方は、こちらのメディウムをお勧めします)

 

 

木枠の収益が植樹活動に活かされているとは?

 

当店の米杉木枠・キャンバスセット・張りキャンバスなど、

一部の商品には[画心(エコ)作家]のスタンプを刻印しています。

このスタンプを刻印している商品の売上の一部(*1)を、

2009年12月より、植樹の会・NPO[ドングリの会]に寄付しています。

 

米杉木枠は、樹齢数百年の大木を伐採して作られます。

また木にはたくさんの節がありますが、木枠の場合、この節があると

タックス(釘)が打てないので、すべて取り除いた[材]にしてから

加工します。乾燥させた分を含めて、歩留は原木の半分〜3割程度とも

言われています。大切な自然からの恵みと、職人さんたちによって、

私たちは、キャンバスを張って描くことが出来ています。

自然にも、低価格でご提供下さるメーカーにも、私たちは感謝しなければ

ならないと思っています。

たとえ、木の種類が異なったとしても、百本の米杉を伐採したら、

二百本の木を植樹することで、地球の自然への恩返しになればと

俵屋工房は考えています。

  

(*1)代金から各コストを引いた金額の2%としています。この合計が年会費を上回った金額を、

年会費のほかに、別途ご寄付するように取決めています。

 

 

画材店の者なのですが、画材のことでお聞きしてもよろしいですか?

 

お役に立てるかは定かではございませんが、

可能は範囲で、ご対応させて頂いております。

 

つい最近のことですが、ある大手画材メーカー様を取材した雑誌を読んでいたら

電話が入りました。

「○○メーカーに問い合わせたら、技術の方から、キャンバスのことなら

俵屋工房に尋ねてみては如何ですかと紹介されました。(大学教授)」

おそらく、電話に出るまで、感心しながら読んでいた雑誌内のどなたか、

からのご紹介だったのだと思います。

「絵のつながりっていいな」と、思った瞬間でもありました。

 

「当店の常連様から、ヨーロッパで販売されている天然無機顔料で

パステルを作りたいと相談されたのですが、その顔料の入手方法、

必要な材料と製法を教えて頂きたいのですが(大手画材通販店)」

 

絵に携わる私たちは、お客様が困っていたら、知らん振りはできません。

俵屋工房でも、お客様からのご注文や問い合わせで、

扱っていないものがあったり、分からないことがあれば、

たとえお付合いのないメーカー様でも、商売敵の画材店様にしても、

お客様に代わって連絡先を調べたり、ご先方様の承諾を得たりするなどして、

お客様にご紹介することもしばしばです。

 

絵に携わる方は、皆さん同業者です。

これからもお役に立てることがありましたら、お気軽にお問合せください。

また、こちらもお世話になることがあると存じますので、

その折には、どうぞよろしくお願い致します。

 

 

 

簡単ではありますが、本日は、この辺で失礼致します。

 

折を見て、また書き込ませて頂きますので、ご来店いただければ幸いです。

 

このたびは、当店にお越しくださいまして誠にありがとうございます。

 

店主敬白

 

 

俵屋工房併設の高橋メソッド・中津美術研究所では、

受講生を若干名募集しております。

絵の経験の有無は問いません。

高橋メソッドの教則で初心者の方でも確実に上達します。

また美大生の方や卒業された方で、将来、絵画指導者になる方は、

高橋メソッドの講師課程などの受講をお勧めします。

 

「伝統を学ぶことは、歴史を橋渡しする事でもあります。」

高橋メソッド・中津美術研究所のご入学お申込み要項は、

こちらのページをご覧下さい。

 

 

 

 

 

いつもお世話になっております
皆様へのリンクページです。

*掲載は順不同

 

順不同

画家・油彩画系

 

古吉 弘 様: Hiroshi Furuyoshi Oil

paintingshttp://www.geocities.co.jp/paintingsfuruyoshi/

三嶋 哲也 様: ?Works of OIL painting?
http://mishima.main.jp/

中上 誠章 様: ハスキルが好き 画家中上誠章のブログ
http://ameblo.jp/luminar-isi/

渡辺 総一様: Yale OFFICE OF POBLIC AFFAIRS & COMMUNICATIONS

http://opac.yale.edu/news/article.aspx?id=6341

 

画家・様々な技法

 

松浦 浩之 様: HIROYUKI MATSUURA

http://hiroyukimatsuura.com/

 

垂谷 知明 様: Tomoaki TARUTANI

http://www.tarutanitomoaki.com/

 

coppi 様

http://www.coppi.jp
http://www.zineport.net

 

お得意様

 

大塚 貴士 様: MY WORLD

http://gebaneko.tumblr.com/

 

美術大学 *お取引実績

 

国立大学法人 東京藝術大学 様

http://www.geidai.ac.jp/art/index.html

 

国立大学法人 富山大学 様

http://www.u-toyama.ac.jp/jp/

 

専門学校・絵画研究所

 

新潟美術学園 様

http://www2.ocn.ne.jp/~n.b.g/

 

 

ルサハクボ先生主催・池袋のクロッキー会: クロッキー魂

http://ameblo.jp/crotama/

 

絵画美術系サイト

 

西洋絵画の画材と技法

http://www.cad-red.com/jpn/

 

画材メーカー

 

ホルベイン画材

http://www.holbein.co.jp/

 

(資)俵屋工房関連サイト

 

三田証券株式会社

http://www.mitasec.com/#