俵屋工房会員の皆さんへのインタビューと展覧会案内
※工房会員・店舗会員が対象です。

【第一回】
[麻布と木枠のキャンバス二点セット(S型)]
ご注文第一号の大塚貴士氏(京都府)に伺いました
(店舗会員)



制作中の「漂着した或る手紙より」





Sサイズを選ばれた理由

[店主] 100号のSサイズをご使用される方は少ないですが、こちらを選ばれた理由をお聞かせいただけますか。

[大塚氏] さまざまな理由がありますが、F、というキャンバスを、なにも考えず使用しつづけていた自分がいて、「空間」「世界」を描く際に、縦や横の概念というものは、意味がないんじゃないか?ということを、ふと今回の展覧会への作品制作の構想の時に気づいたのです。意図的に、Fサイズを使用するならともかく、意識していままでその量産的なキャンバスを使用してきただろうか?いえ、僕は、ただ単に、キャンバスならFサイズを使用しなければならない、という概念になにも意識せずとらわれていた、ということです。それで、このたび、「空」という世界を描く際に、縦横の規制のないSサイズが、絶対必要だったのです。

[店主] 「縦横の規制がない"S"サイズ」とは、とても分かりやすい説明です。


制作の意図

[店主] このたびのテーマでの制作の意図は、どのようなものでしょうか。

[大塚氏] 僕は、見たものをそのまま、綺麗に描く(つまりは、絵を鑑賞する普通の方々に受け入れられやすい作品)ことは、とても容易いことだと思っています。また、それを実践することも可能なのですが、今回は、自分自身に対する、「不安」の中で、自分の求めていること、つまりは「描いていることが生きていること」にテンションを維持し、描き続けています。受ける作品や、過去の巨匠の真似事をすることには、逃げませんでした。僕自身の限界を知りたかったこともあります。また、空間を描くこと、そして、鑑賞する方々に、「なにか変だけれど、立ち止まってしまう」そんな、日常生活に戻られた際に、「わだかまり」の残る、作品を描きたい、そしてそれをできるだけ大きな作品として残したい。そう、考えて制作をはじめました。


制作経過ごとの心境創意工夫など

[店主] 作品は展示にこぎつくまでが大変ですね。それまでには、作品の内面というか外から見えない仕事とかがたくさんあります。
現在制作中と伺っておりますが、絵師がこのようなことを伺うのも何ですが、制作中の心境や経過ごとの創意工夫とかは如何ですか。

[大塚氏] とても不安な毎日です。自分自身のみを信じて描き進むしかないのです。孤独をも感じ、恐怖をも感じます。しかし、それは、誰かの評価をもらいたい、という欲のなせるわざではないかとも思ったのです。ですから、僕は、自分の中で、とりあえずの到達点まで、あと4日で限界にチャレンジしたいのです。また、今回は、筆跡と、筆跡を悟られないように意識して、画面構成をしています。
正直、描きながら、不安で誰かに頼りたくなるときもあるのですが、そんな存在は居ず、それを実行したところで、作品は自分自身からどんどん離れていってしまうのではないか?そう思っています。


人生訓

[店主] 大塚氏は、絵以外にも、色々と取り組まれていらっしゃいますね。色々なことをやりこなしてしまうベラスケスやルーベンスを見て、自分も絵しか描けない「絵描きバカにはなりたくない」と子供の頃から思っていました。今はすっかりその言葉どおりになってしまいましたが・・。

[大塚氏] 僕は、普段、デザインの仕事、書の研究、実践。また小説家になるための執筆と街の観察をしています。世の中には、「世界」が生きている人間、それぞれにあって、その中のひとつを私がもてたこと、両親に感謝しています。あとは、「生きること」「真っ白に燃え尽きても本望なものを行動に移すこと」これを人生訓として毎日を、過ごしています。
(資)俵屋工房 の高橋様に、この度、出会うことができて、僕はとても感謝しております。ありがとうございました。

[店主] 恐縮です。
「画材屋は、制作者のための縁の下の力持ち」とは、絵の恩師である画材店のご主人の言葉です。当時の美大生たちは、学校よりも勉強になるご主人のゼミに熱心に通っていました。俵屋工房も恩師の言葉を胸に活動を続けてまいりますので、今後ともよろしくお願い致します。
それでは、展覧会のご成功をお祈りしております。
今日は、お忙しいところありがとうございました。

2009.03.17

大塚貴士氏(京都府)出展企画展 
[GROWING DAY 12 ILLUSTRATOR EXHIBITION] 2009.3.24(火)〜3.29(日)
新潟美術学園ギャラリー

展覧会場の写真が届きました。



大塚貴士氏の恩師の長谷川朝子先生[左](新潟美術学園園長)とご両親
<新潟美術学園ギャラリーにて>



     

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