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特  徴

練り棒の開発と経緯

俵屋工房では、重要な作品や絵師のために長年に渡って手練り絵具を作ってまいりました。
手練り職人の手作業は、数日間連続して行うこともしばしばです。
練り棒には、いくつかの市販製品を使ってきましたが、練り棒の上部に長時間、手のひらを押し当てるため使用後の数日間は手の痛みを伴うか、あるいは慢性的な痛みに耐えなければなりませんでした。
2008年の春、当工房の意見交換会にて「使いやすい練り棒を」との技術者からのひと言がきっかけとなり、練り棒の開発を決行、翌日より設計〜試作サンプル製作を開始しました。

 完成に至るまでの試作サンプルの一部
従来型の問題点であった「手の負担が最も大きい最上部の構造」の改善モデルの設計を終えて原材料の調査に入りました。この時に、理化学用磁器製の特大乳棒と出会ったことで、それまでのデザインを一新、百年近く変わらぬ形状が裏付けるその「使いやすさと持ちやすさ」を、練り棒に取り入れる設計に切り替えました。
原型(木型)は手練り職人自らが、旋盤を回しては外し、削っては握り・・を、何度も繰り返しながら握り易さを追求して、今日の形に至りました。
本製品の開発協力と製造をお願いしたのは、世界を代表する理化学用磁器〜ムライト製品の生産地・愛知県瀬戸市の窯元です。


[特許庁出願番号 意願 2008-17722]
硬質磁器の強度

理化学用磁器は、1300度前後の高温焼成により軟らかいガラス成分を取り除きながら焼き締めることで、磁器としては極めて硬質な製品となります。そのため、底面の形状を整えるのにガラス製品では僅か数十秒に対し、本製品は、その数十倍の手間と時間を要します。
同じ素材を使用したものに、乳鉢と乳棒がありますが、岩絵具などの粉砕や擦り合わせが可能な強度を持ちます。
また、絵具練りとは直接、関わるものではありませんが、耐熱性のほか耐酸性や耐アルカリ性にも優れています。


底面の構造@ (乳棒型・底広型)

練り棒の構造として重要なのは握り手部分だけではなく、絵具に接する底面の形状にもあります。
例えば底面の中心部が窪んでいると、絵具層と底面に真空状態が出来て、練り棒が動かなくなるか、練り板が動いてしまうか、練り棒が重くなって作業し辛くなってしまいます。
このため、底面は平面もしくは、外周から中心部に向けて僅かに膨らんでいる状態が望ましいのです。
しかし、理化学磁器は、焼成前の原型に対し焼成の14%ほどの収縮作用に伴い底面の形状も僅かに変形してしまうので、最終的には、一本ずつ手作業で底面の表面処理を行って仕上げます。





練り方の図解
※詳しくはユーザー専用ページで解説します


側面図
底面の構造A (乳棒型・底広型)

本品(乳棒型)の底面は約60ミリで底広型は約74ミリです。この違いによる選択基準は、用途と加圧量の個人差となります。
底面の直径と作業内容の関係ですが、一見、直径が幅広い方が「練りやすく、作業も効率的」と思われがちですが、一概に決め付けることはできません。
例えば体重50−60キロ程の方が直径60(±2)ミリの練り棒での加圧可能作業範囲は[16キロ(±2キロ)程度]で、8〜12キロ程度の作業は快適に行えますが、14〜15キロ以上となると長時間での作業はかなり厳しくなります。そして、これに比例するのが底面の直径です。幅が広くなれば加圧量は分散され、前者と同じ作業を行うには、さらに力が必要となります。

そこで絵具練りのポイントですが、仕上げ時の方法としては、写真(左上)の点線で囲った部分(練り板が透けて見える程度に極薄に伸ばした状態)で、「顔料のダマの有無」「埃や不純物の有無」などに注意しながら均一な練り具合を確認します。点線の幅は15〜25ミリ程度ですが、この状態を得るには底面の直径60ミリの場合、加圧量8〜12キロ程度(底面の角度にもよる)となりますので、直径が長くなれば、それ以上の加圧量〜練り方の技術が求められます。

ちなみに、俵屋工房では、軟らかめに練り上げられた絵具の最終仕上げ用に底広型を活用していますが、その他、絵具同士の練り合わせや、水溶性絵具などを大量に練る場合に適します。


底面の構造B (乳棒型・底広型)

側面図のAにあたるエッジ部分は、絵具の立ち昇りを予防するためのものです。といっても無意識に行えば、絵具の立ち昇り現象は容易に生じますので、[練り方の図解]のような力配分を併用するなどして防ぐ必要があります。

練り棒の概念を一新した構造
(乳棒型)

従来製品には、例えば底面の[直径60−65ミリ程度]に対して握り部分の[高さ7−8センチ程度]の小型タイプのものと、同様の直径に対して握り手部分の[高さ10センチ程度]の縦長タイプがあります。
前者の小型タイプは、握り手部分と上部からの加圧部分が明らかに不足しているために、すでにペースト状になった絵具製品同士の混ぜ合わせや低粘性の水溶性絵具の練り合わせには使えますが、粉末から絵具状にする油彩絵具の用としては不向きでした。また、縦長タイプの場合、練り面部の構造には配慮されているものの、握り手部分、特に上部方向から加圧するための構造には無配慮なため、固練りの際や長時間の使用には不向きでした。
乳棒型での加圧方法は、左の写真のように両手で握って行いますので、絵具練りのコツである両サイドの力配分(強弱)の調整が容易なだけでなく、下方に力を加えることで手と握り手部分がフィットして回転運動の軸も自然に安定する構造となっています。
    また、練り棒を正面にして、時計回りに少しずつ回転させてみてください。握り手部分が僅かに傾斜している部分があります。
この傾きを使用時に手前に向けるか向こう側に向けるか、練りやすい方向を見つけてください。俵屋工房のロゴを目安に握り位置を決めると便利です。

練り棒の概念を一新した構造(底広型)

底広型は、従来製品の欠点であった握り手上部の構造を改善したものです。片手で握り、もう一方で上部から加圧しやすくしたものです。


付属品
本製品は硬質な原材料によって半永久的に使用することができます。
末永くご愛用いただけるよう使用後の保存に便利な丈夫な布袋を標準装備いたしました。
ご活用頂ければ幸いです。
発売開始予定日
2008年7月16日(水)
ご注文方法
俵屋工房ネットショップへはこちらからどうぞ。
練り棒のパンフレット(チラシ)へ
     


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